中古車販売大手のビッグモーターで、社員へ厳しい罰則として「給料0円」になった経験のある元店長がいるそうです。
この元店長に取材した内容を、2023年8月10日付の「FNNプライムオンライン」が報じていました。
この報道によると、以下の通りだったそうです。
《FNNプライムオンラインの報道の概要》
中古車販売大手のビッグモーターは、連日問題が発覚している。
新たに、社員への過度なペナルティーの実態が明らかになった。
2022年にある店舗の店長だったAさんは、給料支給日に給与明細を確認したところ、支給額が「0円」と表示されていた。
Aさんは上司や担当社員に問い合わせを行ったが、直属の上司からは無視された。
給与はその日の午後に振り込まれたが、歩合給が全額カットされていた。
担当社員は、Aさんが店長を務めていた店舗での不祥事を理由に、給料がカットされたと説明。
さらに、経営計画書の教えを守っていないとしてAさんを非難した。
Aさんは、ビッグモーターの社風に疑問を投げかけ、その問題点を強調。
ビッグモーターにおけるさまざまな問題の全容解明が求められている。
(報道の概要、ここまで)
転職サイトのイーキャリアのデータによれば、ビッグモーターの2021年9月期の売上高は、約7000億円、従業員数は、約6000人だそうです。
これだけ大きな組織にもかかわらず、コンプライアンス重視の時代において、ビックモーターの「社員に対するペナルティ」は、驚くべき実態です。
中古車販売業は、大規模な仕入が必要なため、銀行からの借入金が多い業態です。
以下に、
1)ビックモーターが、大企業に成長できた理由
2)事業の拡大を支えたのは、銀行の責任と問題点
3)コンプライアンス軽視の組織を急成長させないための仕組み
について考察しました。
1)ビックモーターが、大企業に成長できた理由
◆市場ニーズの捉え方:
中古車市場は新車市場に比べて、多様なニーズに対応できるポテンシャルがあります。
ビックモーターはこれを上手く捉え、多様な商品ラインアップやサービスを展開してきたことが考えられます。
◆効果的なマーケティング戦略:
広告やキャンペーン、口コミをうまく活用し、ブランドの知名度や信頼性を高めてきた。
◆経営の効率化:
大規模な仕入れや効率的な在庫管理、流通システムの構築などにより、コストを低く抑え、競争力を保ってきたと考えられます。
2)事業の拡大を支えたのは、銀行の責任と問題点
◆過度な融資:
事業の拡大や大規模な仕入れのために、銀行は大量の資金を提供することがあります。
しかし、適切な審査や監視が不足している場合、企業の過度な拡大やリスクの増大を招きかねません。
◆短期的視点:
銀行が短期的な利益追求に重きを置くことで、長期的なビジネスの健全性や企業のコンプライアンスが軽視されることがある。
◆リスクの認識不足:
企業の業績や市場動向の変化を十分に理解していない場合、不適切な融資判断をする可能性がある。
3)コンプライアンス軽視の組織を急成長させないための仕組み
◆内部監査の強化:
企業の内部で独立した組織として機能する監査部門を設け、定期的にビジネスプロセスやコンプライアンスの状況をチェックする。
◆経営者教育:
経営層や中間管理職に対するコンプライアンス教育を実施し、組織全体の意識を高める。
◆外部の監視・評価:
外部の専門家やコンサルタントを活用して、組織のコンプライアンス状況を第三者的に評価する。
◆報告システムの設置:
従業員が違反行為や問題点を匿名で報告できるホットラインや相談窓口を設ける。
◆報酬体系の見直し:
短期的な業績だけに結びつく報酬体系ではなく、長期的な健全な経営を評価する指標を導入する。
・・・・・・・
ビックモーターが急成長した理由や銀行の責任、コンプライアンス軽視の組織に必要な仕組みについて、一般的な内容を挙げてみました。
消費者は、CMや店舗数、価格などで、企業を選び、従業員は、給与水準や報酬制度で、就職先を選びます。つまり、消費者や就職希望者にとって、ビックモーターの経営実態は、わかりません。
したがって、私は、今回の一連の問題の根本は、「企業体質」ですが、その他の大きな要素としては、「店舗拡大などに資金提供した銀行」と「持ちつ持たれつの関係を構築した損保ジャパン」が、元凶と考えています。
銀行や損害保険会社が、目先の利益に、容易に走らせない仕組み作りが、こうした不祥事を起こさないために必要な取組みだといえるでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ867号より)
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