2019年に新潮社から発売された「もっと言ってはいけない」(橘玲著 新潮新書)をざっと読みました。

この本では、「性格は遺伝する」、「容姿は人生を左右する」、「子どもの人格、能力、才能の形成において、家庭での教育は無意味に近い」・・・など、少し衝撃的な内容がずらっと並んでいます。

しかし、読んでいくと、多くの人が、薄々は気づきながらも、「そうじゃない、頑張れば報われることもある」と否定しながら、生きていると思います。

 

この本の「遺伝の話」に関する部分を、以下に要約しました。

 

《遺伝の話の要約》

多くの人は、親が長身なら子も長身になるという遺伝の概念を受け入れている。

しかし、性格や能力、病気なども遺伝するという事実に対する受け止め方は異なる。

例として、性格が遺伝することに触れ、陽気な親の子が明るいことは受け入れられるが、その逆も同じ遺伝の理由でありながら社会的規範から外れるとみなされることが指摘されている。

私たちの社会には「子どもは明るく元気であるべき」という暗黙の規範があり、それに逆らうものを遺伝のせいにすることは、子どもにとって心の傷となりかねない。

 

能力も遺伝するが、社会的な違和感や規範によってその受け止め方が異なる。

音楽家の子どもが歌がうまいことは許容されるが、知能や学業の遺伝は言及が避けられがちである。

なぜなら、知能や学業の努力が評価される社会で、それを遺伝に帰することは受け入れがたいとされるからだ。実際、行動遺伝学によれば、知能のスコアのばらつきの7~8割は遺伝で説明ができるとされる。

 

また、体質や病気、特にがんや糖尿病のような身体的疾患が遺伝するとは多くの人が納得する。しかし、「精神疾患が遺伝する」という情報には拒絶感を抱く人も多い。それにもかかわらず、精神疾患の遺伝は数多くの研究で確認されている。

(要約、ここまで)

 

確かに、身長の高さや容姿の良さは、多くの人が、遺伝要素が大きいことを「やっぱり」と思うし、許容します。しかし、学力については、「本人の努力」や「本人を取り巻く環境」の影響が大きい、と考え(思いたい)受入れません。

社会としても、「努力すれば報われる」と思い込んでもらわなければ、学校教育が成り立たないので、みんな、公然とは言わないのでしょう。

 

ちなみに、学力に関して環境要素が強いのは、12才ぐらいまでだそうです。

研究者によれば、双子のひとりは、教育熱心な家庭で育てられ、もう1人は、貧しい家庭で育てた場合、12才ぐらいまでは、学力に差が出るが、その後は、殆ど変らない、というデータがあるそうです。

 

研究データによれば、身長など見た目でわかる部分の遺伝より、知能の方が「遺伝率」が高いそうです。

要は、100m走に例えれば、能力の高い人は、スタート時点で、50m先にいるわけですし、車に例えれば、軽自動車とスポーツカーのように、基礎的能力には、違いがあり、7割ぐらいは「遺伝」であるということです。

つまり、努力して変えられる部分は3割程度。

したがって、凡人は、「凡人の勝ち方」を理解して戦略的に生き抜くことが大事なのです。

 

・・・といっても、私が小学校教師や人の親だったら、「努力すれば、誰でもできるようになる」「頑張れば学力は向上する」とこどもには、思い込ませて、やる気にさせようとする方法をとるだろうな、と思います。
 

 

【好評発売中!】

『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)

https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/

 

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓

(パソコンでアクセスしている方)

http://www.mag2.com/m/0000218071.html

(携帯でアクセスしている方)

http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html

Twitter:https://twitter.com/ariga9001