都営バスでは、バスがすれ違う際の「手を上げる」などの「挨拶」を20年ぐらい前から禁止しているそうです。

 

TBSニュースDIG(2023年8月9日)がこのことについて報道していたので、記事を以下に要約しました。

《記事の要約》

バスの運転手同士がすれ違う際に手を挙げて挨拶する行為が、実際には危険行為として非推奨であるにも関わらず、いまだに一部で実践されていることが明らかになった。

都営バスでは約20年前から、この挨拶行為を禁止している。

理由としては、挨拶をすることで前方不注視となり、事故の原因となり得るからだ。

実際、2003年に東京都内で、運転手が挨拶を交わした結果、前方不注意で歩行者をはねて死亡させる事故が発生している。

日本バス協会はこれを受け、全国のバス事業者に対してこのような行為を避けるように通知している。

しかしながら、多くの市民からは、バスがすれ違う際の挨拶行為を目撃しているとの声が上がっている。

実際に国が指示して調査委員会が覆面調査を行った結果、運転手の約半数が今も挨拶行為をしていることが判明。

専門家からは、安全への認識の再教育と周知が必要との意見が出されている。

(要約、ここまで)

 

私は、仕事で、運送会社に訪問する機会が多く、また、バスやトラックドライバーに知人がいます。

彼らとこの件について、以前、雑談レベルで意見交換したことがありますが、「すれ違う際の挨拶」には、現場でも、賛否があるようで、主な賛否理由を挙げてみました。

 

《賛成の理由》

1)コミュニケーションの促進:
運転手同士の挨拶は、同じ職業の仲間としての絆や連帯感を強めるコミュニケーションの一環として見られる。

2)職業の誇り:
挨拶を交わすことで、プロフェッショナルとしての誇りや責任を持って仕事をしているという姿勢を示すことができる。

3)乗客への安心感:
運転手同士が挨拶を交わす姿を見ることで、乗客に安心感を与え、社内の良好な関係性を示すことができる。

4)瞬時の情報共有:
ジェスチャーを使用して、後ろの道の状況など、瞬時に必要な情報を共有することができる。

5)労働環境の向上:
日常の小さな挨拶が、運転手の精神的な健康やモチベーションの向上に寄与するという意見もある。


《反対の理由》

1)安全上のリスク:
挨拶を交わすことで瞬間的にでも前方を見落とす可能性があり、交通事故の原因となり得る。

2)事故の前例:
過去に挨拶をした結果、歩行者をはねるなどの事故が発生している。

3)職務上の注意義務:
運転手は乗客の安全を守るために全ての注意を道路に集中させる義務がある。挨拶はその注意を散漫にする。

4)不均一な実践:
全ての運転手が挨拶をするわけではないため、実践している運転手としていない運転手との間で統一性がない。

5)効率的な情報伝達手段の存在:
現代では無線や通信システムを通じて、必要な情報を効率的に共有することができる。挨拶に頼る必要はないという立場もある。

 

個人的には、学生時代にバス会社で、「車掌」のアルバイトを数年間に亘り経験したので、どちらかというと、「すれ違いの運転士同士の挨拶」に肯定的です。

私は、「車掌」だったので、運転席脇の乗降口付近が「持ち場」でしたが、ほとんどの運転士は、「手を上げる」などの挨拶の際に、前方を見ていて、視界にバスが入るから、あいさつをするのであって、「よそ見」はしていませんでした。

また、殆どの運転士が、渋滞情報やバスの混雑具合や遅れを簡単なゼスチャーや表情ですれ違う運転士に伝えていました。

また、若干精神論ですが、端から見ていて、「○○さん、今日はちょっと元気なかったな」とか、「○○さんは、運転しているときも笑顔だな」など、運転士同士の業務活動状況の監視や仲間意識向上につながっていたと私は思います。

 

「運転士同士の挨拶が原因と断定される事故事例」があるので、あまり強く言えませんが、「挨拶」は、メリットもあるので、程度問題ではありますが、「全面禁止」を徹底する必要は、ないような気もします。
 

 

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