ISOマネジメントシステム認証審査における要求事項(ISO17021-1)において、「審査の延期や中止」の代表格の要求事項は、「第一段階の結果によって、第二段階が延期又は中止される可能性」でしょう。

 

ISO17021-1:2015では、第一段階の要求事項に、例えば、以下の要求があります。

 

(以下、規格から引用)

9.3.1.2.2 第一段階は、次の事項を目的に実施しなければならない。

a) 依頼者の文書化したマネジメントシステム情報をレビューする。

b) 依頼者の事業所固有の条件を評価し、第二段階の準備状況を判定するために依頼者の要員と協議する。

c) 規格の要求事項に関する依頼者の状況及び理解度を、特に、マネジメントシステムの主要なパフォーマンス又は重要な側面、プロセス、目的、及び運用の特定に関してレビューする。

d) 次の事項を含むマネジメントシステムの適用範囲に関して,必要な情報を入手する。

- 依頼者の事業所

- プロセス及び使用設備

- 確立された管理のレベル(特に,複数サイトの依頼者の場合)

- 適用される法令及び規制要求事項

g) 内部監査及びマネジメントレビューが計画され、実施されているかどうかについて評価し、また、マネジメントシステムの実施の程度が第二段階のための準備が整っていることを実証するものであることを評価する。

(引用、ここまで)

 

要は、第一段階で、組織が、認証範囲の業務を実施する上で、必要なプロセスや設備がなく、マネジメントシステムの管理レベルが低く、内部監査やマネジメントレビューが計画、実施されていない・・・といった状況は、第二段階として予定していた日程を延期、あるいは、中止する、ということです。

 

現地審査が開始されてから、その現地審査を「中止」する要件は、「9.4.2 初回会議の実施」に“j) 審査を途中で打ち切るときの条件に関する情報”という箇条があり、認証機関は、初回会議で説明することになっています。

 

一般的には、認証機関は、組織との認証審査に関する契約書、審査実施手順、認証審査ガイドライン等で、「審査を途中で打ち切るときの条件」を組織と合意し、伝達しており、その要件には、例えば、

・台風・地震などの天災、火災などの緊急事態、労働災害が発生した場合

・製造、施工、サービス提供において重大な不具合が発生した場合

・重大な不適合が審査中に発見、発生した場合

・重大な法令違反が見つかった場合

・組織が審査に協力してくれない場合

などがあります。

 

ちなみに、私は、ISOマネジメントシステム認証に、30年近くかかわっていますが、「第二段階審査予定の延期」というケースは、何度か経験がありますが、「現地審査が開始されてからの審査の打ち切り」は、私の場合、「3.11(2011.3.11)」の時が、唯一の経験です。

あと、沖縄の離島における審査で、大型台風の接近が事前にわかっていて、逆に組織から「日程を延期しますか?」と相談があったことがありました。

当時、私のスケジュールがタイトで、そのまま予定通り、審査を実施したら、審査自体は、なんとか成立しましたが、帰路の飛行機が全便欠航で、内地に帰れず、ホテルにカンヅメになった経験はあります。

 

まだ、現役で少なくとも10年は、この仕事に関わると思いますが、「災害等による打ち切り」が発生しないことを祈りたいです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ838号より)
 

 

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