ISO認証組織が、期限までにサーベイランス審査を受審しない、社会を揺るがす組織不祥事が発覚した等の状況が生じると、ISO認証機関は、「認証の一時停止」をします。

組織の認証が一時停止になると、ISO認証機関に要求される認定基準(ISO/IEC17021:2015)では、次の要求があります。

 

(以下、規格9.6.5.4からの引用)

もし一時停止の原因となった問題が解決した場合には、認証機関は一時停止した認証を復帰しなければならない。

被認証組織が、一時停止の原因となった問題を、認証機関が設定した一定期間内に解決できないときは,認証の取消し又は範囲の縮小をしなければならない。

注記 多くの場合、一時停止は6 か月を超えない。

(引用、ここまで)

 

つまり、

・一時停止の原因となった問題が解決したら、6ヶ月以内に、一時停止を解除しなさい

・6ヶ月以内に解決しなければ、認証取消か、認証範囲を縮小しなさい

という要求事項です。

 

多くの認証機関は、一時停止を解除する条件を手順書化していますが、よくあるパターンは、

「一時停止から5 ヶ月以内に組織が問題解決を図ったことが期待できる場合、一時停止解除条件を確認するために、短期予告審査を行う」

といった手順です。

 

認定基準では、一時停止の解除は「6ヶ月以内」ですが、「短期予告審査」を実施すると、その審査の判定プロセスがあるため、期限は、余裕を持って、「5ヶ月以内」などと規定するようです。

しかし、実際は、

・組織から受領した是正処置の報告書のレビュー

・次回サーベイランス審査

といった方法で一時停止を解除しているケースもあると聞きます。

 

一時停止の内容によっては、「組織から受領した是正処置の報告書のレビュー」で、十分に一時停止の解除を判断できるケースもあると思いますが、機関が手順書で「短期予告審査を実施して一時停止を解除する」という手順であれば、短期予告審査を実施せずに一時停止を解除するのは、手順にしたがっていないことになります。

また、「次回サーベイランス審査で確認」というのも実務的には理解できますが、そうであれば、明確に「一時停止のフォローアップはサーベイランスで実施することもできる」という手順やそのサーベイランス審査の目的に「一時停止のフォローアップ審査を含む」といったことを審査指示書や審査計画書に盛り込んでおく必要があるでしょう。

意外と自社で決めた一時停止解除の手順に、結果的には沿っていないケースがあるので、機関はもちろん、一時停止になった組織も機関が発行する登録ガイド等で一時停止解除の手順を確認しておく必要があると思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ829号より)
 

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