「広島市の平和教育プログラム」から、マンガ「はだしのゲン」を紹介する記述がなくなるそうです。
2023年2月16日付のテレビ新広島の報道によると(※筆者が記事を編集)、
◆広島市の平和教育プログラムが「専門家による検証会議」で見直しされた
◆2023年度の平和教材から、「はだしのゲン」の記述が削除される
◆「はだしのゲン」は、原爆の非人道性を訴えるマンガ
◆広島市の平和教育プログラムでは、小学3年生の教材で使用されている
◆削除の理由は、「栄養不足の母親のために池のコイを盗む場面」等が誤解を与えるため
◆今後は、被爆者やその娘の活動を紹介し、「継承と発信」に重きを置く方向に変更する
・・・
ということです。
報道の範囲で判断すれば、広島市教育委員会の主張について、理屈上は、建前論として、理解できます。
限られた時間の中で、「はだしのゲン」を部分的に紹介した教材は、現代の価値観で捉えれば、「子どもには理解しがたい」部分が多く、その理解のためには「補足説明の時間が必要」になり、教育時間が不足する、という主張は、その通りでしょう。
しかし、「戦時下は、平和な時代には想像できないような状況になる」ということを教えるのが「教育」ではないでしょうか。
「はだしのゲンの鯉のエピソード」は、戦時下における食糧難を子どもに教える上で、重要なエピソードです。
そもそも、「はだしのゲンのエピソード」を知って、「窃盗を真似する子ども」がどのぐらいいるのでしょうか。
コンビニで万引きして、「教育教材の載っていた」と屁理屈をこねる子どもがゼロとは言いませんが、大多数の人格形成上、有益だと思います。
なんだか、「検証会議」の発想は、「教育における負のリスクをゼロにしたい」という考えのようです。
しかし、「人間社会は、きれい事だけではない」ということを教えるのが教育です。
「検証会議」の検討結果を受け入れて、教材からの削除を決めた教育委員会もどうかとおもいますが、「検証会議における議論のプロセスや判断基準の詳細」についてもっと知りたい、と思います。
それにしても、これからの時代、教科書などの多くの人に広く公知される教材は、どんどん、「きれい事」だけになっていくのでしょう。
少し古い話ですが、テレビアニメの「巨人の星」が再放送された際に、「俺の父ちゃんは日本一の日雇い人夫だ」と主人公の飛雄馬が言う台詞が「日雇い人夫」は、建設業従事者への差別用語として「日本一の父、一徹」に差し替えられたときに憤りを感じましたが、今回の件もそれに似ています。
当時の価値観を伝えるためには、別途、親や地域ボランティア等が、意識的に教育しなければならないのかもしれません。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ842号より)
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