ISOマネジメントシステム審査では、マネジメントシステム審査工数(オンサイト、オフサイト)を決める基礎的なデータが「有効要員数」になります。

 

有効要員数とは、例えば、フルタイム勤務でないパート、アルバイト要員がいる場合、例えば、1日の勤務時間を8時間換算とした場合、4時間勤務の要員が1人いたら、0.5人として換算した要員数のことを指します。

 

品質マネジメントシステムや環境マネジメントシステムの場合は、有効要員数を調査する場合、基本的には、認証範囲となる組織図に含まれる要員を指し、役員、管理職、一般従業員、パート、アルバイト、派遣社員が該当します。

しかし、労働安全衛生マネジメントシステムでは、以下の規定があります。

 

(以下、IAF MD5から引用)

IAF MD5:2019  1.9 有効要員数 

(省略)OH&SMSについて、有効要員数には、組織の管理下又は影響下にあり、組織のOH&SMSパフォーマンスに影響を与え得る、労働又は労働に関わる活動を行う請負者及び下請負者の要員も含まなければならない。

(引用、ここまで)

 

つまり、労働安全衛生の場合は、組織の管理下、影響下にある請負者、下請負者まで含むので、品質や環境より、カウントする要員の対象範囲が広がります。

工場における製造業の場合、例えば、工場の塗装ラインに、専属の請負要員がいることが多く、その人数に大幅な増減がないため、カウントは、比較的容易です。

 

しかし、建設業の場合は、建設現場には、下請負業者(協力業者)が、工事の段階に合わせて、入構者(作業員)の数が一定数ではないので、どのようにカウントするかは、ちょっと厄介です。

 

一般的には、認証機関事務局で、組織に、調査票などを送り、組織に所属する要員と審査当日に契約~引き渡し前の工事案件数のリストを提出してもらい、その工事リストに、審査当日に従事している協力業者の要員数を記入してもらって、要員数をカウントする、というような手順を踏んでいるようです。

 

ポイントは、「建設現場における要員数のカウント方法」ですが、認証機関によっては、

・現場毎の施工体制図で予定されている協力業者要員の総数に係数0.5を掛けた人数

・現地審査予定日に、各現場に入構している協力会社の人数

・各現場の入構者の人工(にんく)を工期日数で割って、1日当たりの換算人数を算出する

・・・

といった方法を「現場要員数の算出手順」としているようです。

 

協力業者の入構者が少ない時期を狙って、審査予定日を認証機関と調整したい組織もあるようですが、審査の適切性の観点では、原則、その工事を代表する段階の工事を実施している日を認証機関は、審査予定日としなければ、適切な審査とはいえないでしょう。

 

それにしても、労働安全衛生の認証審査においては、有効要員数は、品質や環境と比較して確実に増えるので、発注者がISO45001を要求するなど、組織にとってよっぽどの要求事項でない限り、組織が、コンプライアンスや組織の労働安全衛生のマネジメントシステム向上のため、といった自主的な動機付けは、なかなか、任所組織数は増加しないだろう、と思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ831号より)
 

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