品質マネジメントシステム規格(ISO9001)の現行版は、2015年版です。

言わずもがなですが、業界的には、2015年版は、「大改定」といわれてます。

規格改定の講習会では、ISO/TC176(国際標準化機構の技術委員会176は品質管理と品質保証を担当)の国内委員の方が、改定のポイントを教えてくれましたが、私の中で印象に残っているポイントに「QMS適用範囲の決定」があります。

 

2015年版以前のISO9001では、規格の上では、品質マネジメントシステムの適用範囲は、組織が任意に決めて、マネジメントシステムが構築されており、認証審査では、「組織が任意に決めた適用範囲の範疇を審査するのみ」という感じでした。

 

しかし、2015年版の改定説明会では、講師の方が、・・・

QMSの適用範囲は、

・組織が「組織及びその状況」を理解する→(内部、外部の課題)

・組織が「利害関係者のニーズ及び期待」を理解する

という前提があって、決めるもの

・・・旨の説明をされました。

 

つまり、組織の事業活動がいくつかあれば、内部、外部の課題や利害関係者のニーズ及び期待を考慮して、QMSを適用する範囲を決める。

実際、たとえば、

・内部留保金の一部を資産運用する

・組織が保有するビルや不動産を外部に貸し出す

・事業化するかどうか、まだわからないサイドビジネス

・実質的に取引先と取引先の間に入って商社機能を果たしている販売

・ISO認証など顧客からのISO認証等の要求が一切無いビジネス

・・・

などは、「わざわざQMSを適用させるまでも無いから適用範囲から除く」といった判断を組織はしていると思います。

 

要は、ISO認証機関や審査員の立場で考えれば、組織の事業と適用範囲の関係を、審査を通じて確認することが必要なのです。

 

なお、認証機関に要求される、ISO/IEC17021-1:2015では、以下の規定があります。

 

(以下、規格から引用)

9.4.8.3 審査報告書には,次の事項に関する記述も含めなければならない。

a) 証拠の要約と併せて、マネジメントシステムの適合性及び有効性に関する記述で、次に関係する事項。

- 該当する要求事項及び期待される結果を満たす、マネジメントシステムの能力

- 内部監査及びマネジメントレビューのプロセス

b) 認証範囲の適切さに関する結論

c) 審査目的を満たしたことの確認

(引用、ここまで)

 

特に、意識すべきは、「b) 認証範囲の適切さに関する結論」です。

認証機関の審査報告書では、「レ点」方式で、「適切/不適切」を機械的に記載するケースが多く見られ、認定基準上は、「認証範囲の適切さに関する結論」が審査報告書に含められています。

 

しかし、個人的には、「認証範囲の適切さ」について、どういった状況なのか、例えば、

・認証範囲を決定するプロセスはどのような手順なのか

・組織の事業活動全てが認証範囲か否か

・適用範囲と認証範囲は、一致しているか

・事業活動と適用範囲に差異があればその理由は何か

・適用範囲と認証範囲が異なる場合は、その理由は何か

・・・

といったことの概要と認証審査でそれをどのように評価したのかは、審査報告書に記述するべきだと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ821号より)
 

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