組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

 

今回のテーマは、「“適合性評価記録が“レ点方式”の審査報告書」について。

 

JIS Q 17021-1:2015 では、認証機関が作成する「審査報告書」に記載すべき事項が規定されています。

審査報告書には、例えば、

・認証機関の特定

・依頼者の名称や住所及び代表者

・審査の種類(例:初回審査、サーベイランス審査、再認証審査んど)

・審査基準(例:ISO9001:2015)

・審査目的

・審査範囲

・審査計画からの逸脱及びその理由

・審査プログラムに影響を与える重大な課題

・審査チームリーダー、審査チームメンバー

・・・

などです。

 

上記に挙げた事項は、審査報告書をテンプレート化しておけば、ほぼ、誤りは生じないでしょう。

 

審査報告書には、その他に、例えば、

・組織が、認証文書及びマークの使用を有効に管理しているかどうか

・以前に特定された不適合に対して取られた是正処置の有効性の検証

・要求事項及び期待される結果を満たすマネジメントシステムの能力

・認証範囲の適切さに関する結論

・審査目的を満たしたことの確認

・再認証審査は、それまでのサーベイランス審査報告書のレビュー

・内部及び外部の変更に対するマネジメントシステム全体としての有効性

・認証範囲に対するマネジメントシステムの継続的な関連性及び適用可能性

・MSの有効性を維持し、改善し続けることに対する実証されたコミットメント

・意図した結果の達成に関するマネジメントシステムの有効性

・・・

といったことに関する記述も該当する場合は、必要になります。

 

「認定基準(JIS Q 17021-1:2015)を満たした審査報告書を作成する」ということを第一に考えるのであれば、若干、事務的で、無味乾燥ですが、これら、審査報告書に記載すべき事項についてテンプレート化に加え、「レ点方式」にすれば、漏れはありません。

要は「レ点」が入っていれば「審査員は適合性を確認した」と形式的には言えるわけです。

 

しかし、私見ですが、仮に、登録組織に組織不祥事や火災や労働災害といった事故が発生した際に、「認証機関は確認すべきポイントをちゃんと見ていたのか」という議論が生じると思います。

その際に、「レ点方式」の審査報告書では、例えば、「組織の是正処置が有効であった」という「記録」にはなるかもしれませんが、具体性は全くないので、「どのような確認を実施して、是正処置が有効であったと判断したのか」と第三者に問われれば、「心許ない不十分な審査報告書」と言わざるを得ないでしょう。

 

「適用不可能な要求事項はなかった」に「レ点」がついていれば、その組織は、規格要求事項を全て適用し、適合していたということになりますが、「何を確認してそう言えたのか」(※記述レベルは程度問題ですが)がなければ、「確認した審査員を信用してください」という感情論であり、第三者には、論理性、納得性、信頼性に欠けた審査報告書であり問題だ、という認識を認証機関は持つべきでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ806号より)

 

【好評発売中!】

事例で学ぶコンプライアンスⅠ』

(トータルEメディア出版)

事例で学ぶコンプライアンス Ⅰ | TEM出版書店 (total-e-media.jp)

事例で学ぶコンプライアンス | 有賀正彦 |本 | 通販 | Amazon

 

『できるビジネスマンのマネジメント本』

(玄武書房)

https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/

 

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】
(パソコンでアクセスしている方)

http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
Twitter:https://twitter.com/ariga9001