組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「複数サイトのサンプリング(類似しないサイト)」について。
複数サイトのサンプリングについて、IAF MD1:2018 では、「6.2項」で「6.1項を使用したサイトサンプリングが適切でない複数サイト組織を審査する方法論」が規定されています。
「6.1項」とは、「各サイトが非常に類似したプロセス/活動を行っている場合に許可される複数サイト」におけるサンプリング方式です。
複数サイトにおける「類似したプロセス/活動」の代表例は、「販売プロセスを担う営業所」や「物流拠点を担う営業所」でしょう。
このような類似したプロセス/活動のサイトのサンプリングは、
(以下、MD1から一部引用)
・サイトでの内部監査及びマネジメントレビューの結果又は以前の認証審査の結果
・苦情の記録並びに是正処置及び予防処置が関連する側面の記録
・サイトの規模の有意な差異
・シフト勤務のパターン及び作業手順の差異
・マネジメントシステム及びサイトで実施されるプロセスの複雑度
・前回の認証審査以後の変更
・マネジメントシステムの成熟度及び組織の知識
・環境問題、並びに環境マネジメントシステムの側面及びそれに伴う影響の程度
・文化、言語、及び規制要求事項の相違
・地理的な分散及びサイトが常設か、一時的か又は仮想的であるか
(引用ここまで)
といったことを考慮してサンプリング計画を立てる必要があります。
審査の効率性を考えると、例えば、製造業の場合、全国各地に販売拠点があると、中央サイト(本社等)やメインプロセスの製造拠点から、移動しやすい近くの販売拠点ばかりをサンプリングしたくなってしまいます。
しかし、「少なくともサンプルの25%はランダムに選びなさい」という規定がありますし、また、上記に示したような、サンプリングの考慮要件もあるので、審査スケジュール上の都合ばかりを優先させるわけにはいきません。
話題を「6.1項を使用したサイトサンプリングが適切でない複数サイト組織を審査する方法論」に戻しますが、このケースは、例えば、製造工場が複数あるが、工場で製造している製品が全く違う(例:金属加工品とプラスチック加工品)場合は、サンプリング手法は適用できません。
したがって、この場合は、MD1の6.2.1の規定「審査プログラムは、すべてのサイトの初回審査と再認証審査によって構成されなければならない」が適用され、「プロセス/活動が類似しないサイトは、初回と再認証では、すべて審査しなさい」となります。
このケースの場合、間違えやすいのが、「1認証サイクル内で全て訪問すればよい」という考えです。
個人的には、ケースバイケースだと思いますが、現状のMD1では、「類似性がないサイトは、初回または再認証審査では、全て確認しなさい」と規定されているので、注意が必要です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ809号より)
【好評発売中!】
『事例で学ぶコンプライアンスⅠ』
(トータルEメディア出版)
事例で学ぶコンプライアンス Ⅰ | TEM出版書店 (total-e-media.jp)
事例で学ぶコンプライアンス | 有賀正彦 |本 | 通販 | Amazon
『できるビジネスマンのマネジメント本』
(玄武書房)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)
http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
Twitter:https://twitter.com/ariga9001