組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「システム構築時に既に取引していた購買先」について。
「システム構築時に既に取引していた購買先」の扱いは、組織が、ISOマネジメントシステムを導入し、構築するにあたっての「あるある」のひとつです。
これは、具体的にどういうことかと言えば、
「ISOマネジメントシステム構築以前から取引していた購買先は、ISOマネジメントシステム構築にあたって設けた新規の購買先評価手順によらずとも、取引をそのまま継続できる」
という社内で決めたルールです。
このルールのメリットは、
・新ルールで、購買先を評価しなくてよい
・新ルールに基づく購買先評価記録を作成する手間が省ける
といったことが挙げられます。
しかし、このルールは、大雑把に言えば、「これまで取引している中で問題がないから、そのまま取引しても問題ないでしょ」というものです。
つまり、「どのような評価基準で購買先として認定したのですか?」と組織の顧客や第三者から説明を求められた際に「これまでの取引実績が評価基準です」としか説明ができません。
要は、「結果に、特段の問題が発生していないこと」が評価基準なので「購買先自体のプロセス」は、「完全にブラックボックス」です。
したがって、顧客や第三者からすると「本当に大丈夫なの?」という懸念が生じます。
この購買先が、製品品質やサービスに影響をあまり与えない、例えば、JIS規格品の汎用部品などであれば、この「これまでの実績で購買先としている」というルールで問題はないでしょう。
しかし、例えば、「製造の一部を外注してる場合」や「製品そのものを委託製造している場合」の購買先については、このルールではとても「購買先を管理しています」とは言えないでしょう。
重要な外注や委託製造については、例えば、
・業務手順(組織体制、QC工程表、品質基準、検査基準など)
・設備管理(設備管理手順、校正手順、試験成績書、設備仕様など)
・要員管理(資格、教育研修、必要要員数など)
・マネジメントシステム(ISO9001など)
などを「購買先評価基準」として、評価・承認し、その内容に変更がある場合は、連絡を必須にするなどの要件を決めておかなければ、とても「購買先を評価・承認して、継続管理する仕組みが当社にはあります」と胸を張って外部に説明することは、無理があるでしょう。
つまり、購買する内容によりますが、「ISOマネジメントシステム構築以前から取引している購買先」は、「そのまま取引を継続できるルール」を設けて目先の業務に影響が出ないようにすることは問題ないです。
しかし、「具体的な購買先評価基準」は、いずれにせよ、明確にしておかなければ、問題が発生していない間はよくても、問題発生時や顧客や第三者からの説明を求められた場合は、全く無力であることを、経営者は理解しておく必要があるのです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ799号より)
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