この10年ほど、製造業や建設業で、「検査不正」に関する報道が数多く発生しました。

報道された企業には、日本を代表する大手企業がたくさんあったため、「日本企業の信頼は落ちた」と感じる人が多かったと思います。

 

また、こうした「不正」は、5年、10年ではなく、20年、30年に亘って、継続的に行われてきたものも多く、「なぜ、もっと早く、不正が見つからなかったのだ」という疑問も多くの人が抱いたと思います。

 

感覚的な昔話ですが、大学を卒業して、10年ほどして、会社の中では「中堅」と呼ばれる世代にさしかかった頃、世代が近い大学時代の友人たちと集まって話していると、「あと、10年、20年すると、とんでもないことが起きるんじゃないか」と危惧した話を、友人たちがしていたことを思い出します。

私は、その頃は、新卒で就職した会社を退職し、設立年数が浅いコンサル会社に転職していたので、なかなか実感がわかなかった話もありました。

 

ただ、それから、20年ほど経って、当時の友人達の話を思い出すと、例えば、

・理屈がわからないけれど、職場で脈々と受け継がれている仕事がある

・製品の検査基準等に沿っていなくても、発覚しにくい業務は手抜きする習慣がある

・経営陣には製造現場の実態がわからないから、問題があっても現場で適当に納める

・納期や価格優先で、現場には「できません」という選択肢はない

・内部監査は形式的で、業務改善改善という意識が内部監査員に欠如している

・要員不足を理由にした社員の促成栽培や派遣労働者、期間工が増えている

・・・・

といった話をよく耳にしました。

 

友人達の話では、

“立場上、現状を「是」として仕事をこなしているが、「これでいいのか?」という忸怩たる思いがある”

“自分が中間管理職になった時にこの状況を正せるかと言えば疑問だ”

“こんな状況を続けていたら、うちの会社はもとより、日本の製造業全体がおかしくなる”

といったことを言っていました。

 

「組織不祥事」に関する研究は、多くの経営学者や品質管理・品質保証の専門家が、調査・分析して発表しているので、学術的なことはそちらに委ねますが、組織のマネジメントシステム監査や業務改善指導について長年、関わってきた在野の立場で、一言で申せば、

『“とりあえず”や“急場しのぎ”でその場をやり過ごすと、そのやり方が常態化し、標準となる』

ということです。

 

私が関係する仕事の世界でも、「監査を乗り切るために」、「要員不足を早期に解消するために」といった「そもそもおかしいんじゃないの?」という相談をよく受けます。

私は「正論をかざすタイプ」ではないので、ケースバイケースで「やむを得ないですね」と受け止めて、後々、客観的な理屈が通るような「協力」をすることもあります。

ただ、懸念するのは、「このやり方で乗り切れたじゃないか」と、事情をわかっていない経営層や幹部層に認識されることと、「急場しのぎのやり方」が常態化し、そのやり方しか知らない世代が入ってきたときに「その方法論が標準となる」ことです。

 

私は、フリーランスなので、こうした「協力や支援」は、直接的な目の前の利益(売上)になるのですが、おかしな方向にいかないよう「それは、おかしいんじゃないですか、協力できません」という矜持を持って仕事をしなければ、と思う次第です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ809号より)
 

 

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