北海道札幌市の納骨堂を経営する宗教法人が事実上、経営破たんした問題が、ニュースやワイドショーで連日報じられています。
2022年10月25日からは、納骨堂の建物の入口は施錠され、入ることができなくなったそうです。
各メディアの報道では、納骨堂(御霊堂元町)を運営する「白鳳寺」は、葬儀会社から借りていた2億7400万円を返済することができず、土地と建物が競売にかけられ、11月21日に引き渡しの強制執行が行われることになっているそうです。
通常のビジネスなら、運営会社が経営破綻した場合、破綻した運営会社の事業を引き継ぐことがありますが、「納骨堂」事業は、札幌市の条例により、自治体か宗教法人でないと事業をすることができない規定になっているそうです。
したがって、この納骨堂「御霊堂元町」を利用する800弱の檀家が、このままサービスを受けるためには、
1)経営破綻した宗教法人が、運営実績がある別の宗教法人に事業譲渡する
あるいは、
2)競売で買い取った業者が宗教法人の役員になり運営する
という方法しかないでしょう。
つまり、上記の方法論が取れない場合は、800弱の檀家は、「別の納骨堂や墓地を探す」といった方法しかなく、要は「泣き寝入り」となるでしょう。
納骨堂の運営が「自治体か宗教法人に限る」という条例の根底には、「納骨堂は未来永劫運営されなければならないもので、自治体や宗教法人なら、経営破綻するリスクは低いだろう」という制度設計思想があると思います。
納骨堂は、許可を出す自治体が、開業時に「財務状況をチェックする」ことになっていて、開業後は、毎年「経営状況の報告」を受ける仕組みになっています。
つまり、結果論ですが、札幌市のこの宗教法人の財務状況のチェック体制が不十分だった、ということです。
報道では、この騒動が起きた後に札幌市の立入り調査で「財務書類が確認できなかった」ということですので、札幌市の納骨堂を運営する宗教法人の管理体制に不備があったことは間違いありません。
納骨堂ですが、全国的に増加傾向で、供給過剰の状態だそうです。
つまり、今後、財務管理がずさんな宗教法人の「納骨堂運営破綻」問題が、発生する可能性があるといえるでしょう。
私たちのリスク回避としては、
・永代供養は永久供養ではないことを認識し、管理がしっかりしていることを確認する
・宗教法人の実態(法要や典礼を実施しているか)を確認する
・納骨堂が老朽化した際の対応を契約書等で確認する
ことです。
札幌市では、納骨堂の新規運営は、小規模なケース以外、認可していないそうですが、今回のケースは、札幌市にも責任の一端があるので、後継の宗教法人を行政主導であっせんするなどの対応が必要だと思います。
しかし、納骨堂の檀家が800弱と規模が大きいことから、ひとつの宗教法人がすべての檀家を引き継ぐのは難しいように考えられ、今後の動向を注視したいと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ826号より)
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