2022年10月3日付けの北海道文化放送が、札幌市民らが、「“北海道百年記念塔”の解体工事の差し止めを求めの訴訟を起こした」というニュースを報道していました。
報道によれば、
◆百年記念塔は“北海道命名100年” を記念して1970年に造られた塔
◆老朽化などのため、早ければ10月中にも解体工事が始まる予定
◆札幌市民らでつくる「北海道百年記念塔を守る会」がある
◆「守る会」は3日に北海道と鈴木知事に対して、解体工事の差し止め訴訟を起こした
◆訴訟理由は、建築物として貴重で、解体決定に至る道庁のプロセスも不透明である
とのことです。
解体が決まっている「北海道百年記念塔」ですが、札幌市厚別区の「野幌森林公園」にあります。
報道にもあるように、この記念塔は、1968年11月に北海道開道百年を記念して着工され、1970年7月に竣工し、1971年4月から一般公開されています。
私は、中に入ったことはなく、外観をみたことしかありません。
そのため、「100年記念塔」に対する思い入れが薄いのかもしれませんが、一般論で言えば、「老朽化による解体はやむを得ない」と思います。
北海道百年記念塔に訪問したことがある人の話しでは、
・記念塔は、赤さびがある廃墟塔
・塔に向かう手すりは、老朽化で使用禁止になっている
・記念塔は、建設時から雨水がたまりやすい設計で瑕疵が判明した
・施工後、10年弱でエレベーターが動かなくなり、階段仕様になった
・周囲は立ち入り禁止になっている
という具合だそうです。
また、札幌に住んでいる感覚だと、市民でも記念塔の存在を知っている人は少なく、野幌森林公園は、利用しやすいスポットではなく、観光地でもありません。
おそらく、札幌市民に対して多数決を取れば、改修や維持コストに見合わないから、「解体賛成」という結果になると思います。
近隣住民や思い入れのある人(守る会)にとっては、昭和時代の廃墟化した建造物で、ノスタルジーにひたれるのかもしれないですが、トータルで捉えると、解体なんでしょうね。
私見ですが、そもそも、百年記念塔の建設計画段階で、どのような将来像を描いて、建設したのかが重要だと思います。
「北海道開拓史を未来に残す上で記念塔は象徴のひとつ」とするなら、計画的に維持管理予算措置を講じるべきですが、状況からは、そのように扱われてきたようではありません。
ただ、守る会が「解体決定に至る北海道庁のプロセスが不透明」といっているように、「市民の思いと道庁の計画運営にずれがある公共施設」は、記念塔に限らず、他にも数多くあるでしょう。
公共建造物に関しては、建設企画や運営段階で建造物の目的や運営計画が明確で、例えば「50年後には解体」すると決めて維持管理運営をしていたのなら、解体は既定路線であり、問題ありません。
道庁に改善の余地があるとすれば、百年記念塔の、竣工から解体までの道筋を市民にわかりやすく情報発信や開示してこなかった可能性で、それ検討するべきではないかと思います。
それにしても、北海道庁は、環境マネジメントシステムを導入しています。
したがって、既存建造物のライフサイクルを考慮し、利害関係者(市民)への適切なコミュニケーションについては、環境マネジメントシステム的にも、改善の必要性があると言えるのかもしれません。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ823号より)
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