組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。

 

このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。

今回のテーマは、「認定審査における組織審査立会の特別処置」について。

 

ご存知の方も多いと思いますが、ISO認定認証制度では、認証組織に対して、認証機関によるサーベイランスや再認証審査があるように、認証機関に対しては、認定機関によるサーベイランスや再審査があります。

 

認定機関におけるサーベイランスや再審査は、基本的には「事務所審査」と「組織審査立会」によって構成されています。

大雑把に言えば、事務所では、認定基準に則った認証プロセスの構築と運用状況を認証機関の事務所において実施し、組織審査立会は、実際の認証審査活動を認定機関が立ち会うことで、認定基準に適合した認証審査が実施されているかを検証します。

 

ただ、2020年から続くコロナ禍において、事務所審査は、日程を延期して審査する、あるいは、リモート審査形式で審査を実施するなど対応が可能です。

けれども、「組織審査立会」は、「組織の同意(合理的でない立会の不同意は認められていない)」があって成立します。

しかし、コロナ禍においては、組織から「コロナ禍においては感染防止の観点から、外部の入場を制限している」等の理由を提示されれば、「合理的な立会審査不同意理由」と考えられるので、なかなか、組織審査立会が成立しないのです。

 

また、認証機関の事務所審査であれば、Web会議システムで、会議室間をつなげば、審査が成立しますが、組織審査立会の場合は、会議室で行われる聞き取り調査などは問題ないですが、製造現場や建設現場など、現業部門の活動状況は、組織側や認証機関側に動画の撮影協力を仰ぐ必要があり、事実上、組織審査立会が実施できないケースが多数発生します。

 

そのためJABにおいては、「組織審査立会の代替措置」として、立会代替審査を「特別措置ルール」として設けています。

要は、事務所審査等において、実施できなかった組織審査立会の代わりに、

・担当審査チームに対する聞き取り

・審査記録のレビュー

を実施するわけです。

 

個人的には、「コロナ禍におけるやむを得ない措置」と捉え、実務上は、理解していますが、聞き取りや審査記録のレビューでは、いくらでも取り繕えます。

リアルタイムな組織と認証機関審査チームの聞き取りや現場観察、組織における記録のチェックの中で見える「よい審査、悪い審査」は、立会代替審査では、現実的には見えてこないです。

認証機関における登録組織の産業分野や組織規模、審査機関や審査員のITスキルにもよるようですが、聞くところによれば、認証機関によって「組織審査立会」が数多く実施できた/できないに差異があるようです。

ISO認定認証制度は、公平性、透明性があって、信頼度が高まるものだと私は考えますので、あまり、認証機関毎で「立会代替審査」が多い・少ないがでるのは、望ましくないと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ814号より)
 

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