組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「審査チェックリストに記載する確認事項と審査メモ」について。
認証機関の職員時代に、マネジメントシステム審査員の訓練指導を何度も担当しました。
その際に訓練審査員から聞かれる「よくある質問」のひとつに、
・標準審査チェックリストにどのぐらい確認事項を追加しておけばいいのか
・現地審査では、どの深さまで確認するのか
・現地審査で記録は、どのレベルまで記録するのか
といったものがあります。
長年、審査員をされている方には、それぞれのやり方があるので、あくまでも一般論ですが、「そもそも論」としては、まずは、「審査トレイルを設計すること」から始まります。
いわゆる、その審査における審査方針、重点事項、これまでの審査から考慮する事項をどのように確認するか、審査シナリオを作ることです。
少し脱線しますが、審査員訓練段階や審査歴が浅い審査員の場合は、審査トレイルについては、私見ですが、なかなか自ら設計するのは難しいので、チームリーダーが思い描く審査方針をよく確認し、指示事項をしっかり現地審査確認する、ということで私はよいと思います。
「よくある質問」のひとつめの「標準チェックリストにどのぐらい確認事項を追加すべきか」は、重点事項やチームリーダーからの指示事項を確実に聞き漏らさず確認できるようなレベルで追加しておけばいいと思います。
次に「どの深さまで確認するのか」は、チームリーダーが、どの程度の確認をチームメンバーに期待しているかによると思います。
組織の手順書に沿って実施しているかどうかを確認する程度なら、実施記録をサンプリングし、運用状況を確認すればよいでしょう。
しかし、手順書の運用について、運用ルールがわかりづらい部分やレアケースについて、手順が確立しているかどうかまで、確認するのなら、もっと突っ込んだ質問をして、確認することが必要です。
また「どのレベルまでチェックリストに記録するのか」は、「チームリーダーが期待する報告書が書ける程度の情報」となります。
チームリーダーが、報告書に記載する情報として、「手順書とその版」、「実施記録とその記録の名称、日付」程度であれば、それが後で審査報告書に書ける情報をメモしておけば大丈夫です。
ただ、一般的には、「適合または不適合と判断した事例やその根拠の概要」は、審査報告書に残すことが無難です。
そうなると、サンプリングして確認した「実施記録名称と日付」だけでなく、「運用事例の概要」(例:内部監査における是正処置事例なら、不適合、修正、原因、再発防止の概要)はメモしておくことが必要です。
審査慣れしてくると、標準チェックリストに、備忘録を箇条書きにしたメモのような内容しか記載していない審査員も多いです。
おそらく、「チェックリストに言語化していない確認事項の引き出しが頭の中に何パターンもある」から、「聞き忘れ防止」として、備忘録的に、確認事項をメモしておけば、事足りるのです。
つまり、「このように回答されたら、このように質問してみよう」、というチェックリストに言語化していない質問パターンが何パターンかあるのです。
この質問パターンは、組織毎に異なりますし、チェックリストに文字で起こすとたぶん、実際の現地審査では、確認しきれません。
また、想定外の相手の回答もあるので、そのようなチェックリストを作成することは、非効率でしょう。
いずれにせよ、「今回の審査目的はなにか」、「審査プログラムやチームリーダーの指示事項はなにか」をよく頭にたたき込み、アウトプットイメージ(審査報告書)をもって審査に挑むことが基本であることは言うまでもありません。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ807号より)
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