組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「シフト業務に対する認証審査の考え方」について。
認証機関の認定基準に、「ISO/IEC 17021-1:2015」があります。
この規格の「9.1.3.5」項には、次のような規定があります。
(以下、規格から引用)
依頼者が業務をシフト制にしている場合、審査プログラム及び審査計画を策定するときに、シフト制での作業中に行われる活動を考慮しなければならない。
(引用、ここまで)
つまり、機関は、「組織にシフト業務があれば、認証審査において、そのシフト業務が審査に与える影響を考慮して、審査プログラムおよび実地審査計画を立案してください」ということになります。
スキーム要求で、「全シフト業務を審査しなければならない」という要求があるケースもありますが、スキーム要求がなければ、「シフト業務が審査に与える影響」を機関として、確認することが、出発点です。
現実的には、多くの機関と審査員は、
・シフト毎の仕事内容の違いを確認する
・シフト勤務がローテーションか固定かを確認する
を実施し、仮に、
「仕事内容に違いがなく、勤務はローテーション」
であれば、「日中の時間帯に審査を実施」するでしょう。
ただ、それでは、認定審査や認証組織の顧客や取引先、社会から「突っ込み」が機関にあると思います。
「仕事内容に違いがなく、勤務はローテーション」
という状況は、確かに、「製品品質またはサービス品質へのマネジメントシステムの影響」は限定的でしょう。
しかし、例えば、
・管理者が不在や手薄になる可能性がある夜間も同様の仕組みで業務が遂行できているか
・設備トラブル、火災などの非定常時、緊急時の体制はどうなのか
・屋外業務の場合、作業時間帯による環境側面や危険源に違いがないのか
と質問されれば、必ずしも「日中時間帯の審査のみで問題なし」とは言い切れないでしょう。
「機関は、シフト業務を考慮して審査しなさい」についての「そもそも論」は、
1)機関が、組織の業務にシフト勤務があることを認識していたか→記録が必要
2)機関が、組織のシフト勤務の詳細を把握して、通常時間以外の審査の必要性を検討したか→記録が必要
3)機関の手順書等で、組織のシフト勤務について、「現地審査が必要、不必要の基準(目安)」を規定しているか→手順書や周知した運用ルールの提示が必要
といった点を客観的に明確にしておくことがポイントです。
次に、「通常時間帯のみの審査で、マネジメントシステム審査上の欠落がないと言えるのか」を機関として検証することが「シフト業務を考慮した審査」だと思います。
つまり、QMS、EMS、OHSMS、ISMS・・・など認証スキーム毎に、「ISO認証についての社会の期待や懸念に応えた審査プログラムとなっているか」を検討することが重要で、かつ、ISO認証制度の信頼性向上につながるのだと言えるのだと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ778号より)
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