2022年8月2日に、日野自動車によるエンジン不正をめぐり、外部の弁護士らで構成されている「特別調査委員会」が、調査結果を公表したそうです。
特別調査委員会の調査結果では、
・少なくとも2003年以降に幅広い機種で排ガスや燃費の性能を偽っていた
・国土交通省が2016年に行った調査に不正はないと虚偽の報告をしていた
・生産終了エンジンについても燃費、排ガス試験で不正があった
・不正の背景について、開発プロセスに対するチェック機能が不十分だった
・能力やリソースに関して現場と経営陣の認識に断絶があった
・上意下達の気風が強すぎて風通しが悪く、パワーハラスメント体質があった
といったことが判明したそうです。
特別調査委員会は、再発防止に向け、品質保証部門の役割の明確化や機能強化などを求めているそうですが、「開発プロセスのチェック体制」、「現場と経営陣のコミュニケーション不足」といったどちらかと言えば「仕事の仕組みの問題」なので、取り組みやすいですが、「上意下達の気風」や「パワハラ体質」は、「組織文化の問題」なので、すぐには改善されないかもしれません。
一般論ですが、「パワハラ」としては、
(参考文献:コンサルタント松井順一氏のコラムより編集)
・身体的な攻撃
・精神的な攻撃
・人間関係の隔絶
・過大な要求
・過少な要求
・個の侵害
などがあります。
また、「パワハラの原因」として、
・強者としての認識不足
・コミュニケーション不足
・被害者意識
・レッテルに絡めた評価
などがあります。
感覚論ですが、私のコンサル経験では、「本人がパワハラと認識していない」というケースが意外とあります。
役職上、明らかな「上司・部下」の関係ならわかりやすいですが、社歴、業務経験、保有資格などから事実上、業務指示や教育的立場にある場合、「強者(優位的地位)である」→「パワハラになる可能性」という認識が欠如しているケースがあります。
例えば、「能力に応じた仕事が与えられていない」というようなパワハラであれば、仕組みでカバーできるのは、「力量評価基準」や「スキルマップ」、「教育計画」、「上司と部下の面談」などの仕組みを改善することです。
ただ、仕組みを作っても有効に運用できるかどうかは、社内風土によるところが大きいので、なかなかすぐに改善されるようではありません。
「マネジメントシステム認証」の世界にいるものとしての「言い訳」になってしまうかもしれませんが、「仕組みの構築や運用結果」は、コンサル指導や監査によるチェックができますが、「仕組みが有効に機能していて、パワハラが発生していないか」までは、なかなか社外の人間には、わかりません。
「パワハラ」については、「内部通報制度」と「労働基準監督署の調査」、「労働基準法」等の改善により、例えば、「パワハラ基準としての条件を満たす証拠」を労働基準監督署が認定したら、一定期間の経過観察を経て、改善されなければ、強制解雇できる、といった仕組みづくりが必要ではないかと思います。
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