2022年7月22日に、青森県今別町で、サーモンを加工する際に出た大量の血液などを海に捨てたとして、養殖会社の社長が逮捕された報道がありました。
この養殖会社は、日本サーモンファームで、2022年6月15日に、今別町にある魚をさばく施設からサーモンの血液が混ざった液体およそ200キロを海に捨てた疑いが持たれているそうです。
逮捕は、警察に匿名で、
「漁港に大量の魚の血が垂れ流しになっている」
との通報があったそうです。
色々とこの件について、調べてみると、
・日本サーモンファームは、2017年に設立された
・2019年秋から本格養殖に着手し、2022年の生産量は1600トンの見込み
・海洋への不法投棄は魚体を水揚げし、活け締めする4~6月に行われた
とのことです。
不思議なのは、日本サーモンファームの事業内容から想像すると、食品衛生法(食品衛生法施行令第35条)では、「魚介類販売業」にあたると思います。
つまり、許可業種であり、保健所による調査があったと思います。
報道では、「漁港の作業現場に廃棄物であるサーモンの血を適切に処理する設備はない」とのことです。
したがって、逮捕容疑は「2022年6月15日の不法投棄」ですが、「養殖事業開始から不法投棄を繰り返していた可能性は高い」でしょう。
そう考えると、「なぜ、保健所は、浄化設備がないのに営業許可を与えたのか」が疑問です。
保健所の調査の際には、例えば、
・年間の活け締めの時期と処理量が限られている
・廃棄物は、産業廃棄物として産廃業者に委託処理する
などと説明して、許可を取得したのかもしれませんが、保健所の許可に関する調査に改善の余地があるように思います。
また、日本サーモンファームは、国際認証制度である「ASC認証」を取得しています。
ASC認証とは、ASC(Aquaculture Stewardship Council→水産養殖管理協議会)による国際認証制度で、環境に負担をかけず地域社会に配慮して操業している養殖業に対する認証制度です。
したがって、当然、認証審査の中では、「水質汚濁防止法」に沿った排水基準や「廃棄物処理法」にそった廃棄物処理がされているかを確認するはずです。
サーモンの加工期間が「4月~6月」なので、審査時期によっては、「加工場が操業している時期に審査をしていない」可能性はありますが、そうであっても、書類で環境法令に則った組織活動は検証できるはずです。
日本サーモンファームの社長(Webサイトでは、会長が顔出ししている)は、「サーモンの血が混じった廃液約200キロを投棄した」廃棄物処理法違反容疑で逮捕され、送検されています。
廃棄物処理法の罰則では、不法投棄は、原則、「5年以下の懲役または1000万円の罰金」なので、おそらく罰金刑か、執行猶予付の有罪となるでしょう。
日本サーモンファームにおける徹底した再発防止策の実施はもちろん必須ですが、保健所の許可体制やASC認証機関の審査体制についても、改善の余地があると言えるでしょう。
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