(前編からの続き)

その他の認定基準として、審査工数算出に大きく影響があるものとして、複数サイトに関しては、IAF MD1、QMS/EMS/OHSMSについては、IAF MD5という基準が審査工数に影響があります。

 

汎用的に決めやすい項目、例えば、統合審査やこれまでの審査で重大な不適合が発生していない、組織の製品/サービス分野の種類が1種類など、どちらかというと「定量的」に考慮しやすいものは、認証機関の審査工数算出手順の中で、一律に起点となる審査工数から「プラス10%」とか「マイナス20%」というように手順化しているケースが多いです。

 

審査工数算出者の判断によって、ばらつきやすい項目、例えば、組織の複雑性、プロセスや活動のリスク、マネジメントシステムの成熟度、利害関係者の見解やMD5やMD1で原則が決められているもの(例:リスクカテゴリ、複雑さのカテゴリ、複数サイトなど)については、機械的に判断できるように手順化している認証機関もあります。

 

しかし、実際は、「組織毎に判断するしかない」ケースが多く、「なぜ、このような工数増加率にしたのか、あるいは、工数削減率にしたのか」の理由は、「工数算出に関して力量を認められた者の判断」としかいいようがない部分があります。

 

つまり、ISO/IEC 17021-1で「マネジメントシステム審査の工数と、それを正当とする理由は、記録すること」と要求されている部分は、こうした「認証機関の手順で機械的な判断ができない部分については、理由を記録しておきなさい」ということなのです。

 

認証機関に対して見積を取り、認証機関を選定する組織の立場で捉えれば、「なぜA認証機関とB認証機関では、こんなに見積金額に差があるんだ」という感想を持つと思いますが、その理由は、組織の「有効要員数」以外に、こうした審査工数決定に影響を与える各ファクターについて、どのようにプラス/マイナスしているかの差なのです。

(※仮に、審査工数が同じであるなら、1人日あたりの単価の違いでしょう)

 

あまりにも費用が安い認証機関は、審査工数算出のルール上、削減可能なファクターを最大限割り引いているのだと思います。

しかし、割り引きすぎると、認定機関から「審査に有効な工数算出がされていない」と判断され、追加審査が必要になるケースが生じます。

また、審査のサンプリングが荒くなるので、組織が見落としているような点を認証機関も見逃す結果となり、結果として「安物買いの銭失い」な審査結果になると思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ785号より)
 

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