組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「組織体制が見直し中のマネジメントシステム」について。
マネジメントシステム審査について、連続して組織に訪問するケースがあります。
その中で、強く印象に残っているできごとのひとつに「がらっと組織体制が変わっていた」という事例があります。
具体的には、
・組織の要員数が、約200人から50人程度に減少していた
・製造部門の要員の殆どが退職、転籍していた
・殆どの製造設備やラインが工場から撤去されていた
といった変化です。
仕組みとして、組織は本来、事前に「システム変更届」を認証機関に提出する必要があります。
しかし、システム変更届が提出されておらず、事前に提出した審査計画に対して、組織から特段の変更要求もなかったので、訪問してみて、驚いたという状況です。
詳細は忘れましたが、確か、親会社の意向で、汎用製品の製造プロセスを別のグループ会社に移転し、組織には、一部の特殊品の製造ラインと開発製品の試作品製造ラインだけを残した状態でした。
このような場合、本来なら、
・組織は「システム変更届」を認証機関に提出する
・組織は、マニュアルなどマネジメントシステムを改訂する
・認証機関は、組織に変更内容を確認し、審査工数などの調整を行う
・担当審査員は、審査を通じて、適用範囲や認証表記の変更を確認、提案する
といった段階を経ることになります。
私の場合は、確か、当時は、認証機関の職員だったので、上長に連絡し、処置対応の判断を仰いだ記憶があります。
「システム変更」の事例として、「たまにある事例」が、
「組織が組織体制を大きく見直したが、職務分掌がはっきりしていない状態」
における認証審査です。
つまり、
・組織図は、前回審査から大きく変わっている
・職務分掌規定は、古いままで、改訂案はあるが、正式承認されていない
・すでに所属部門は変更しているが、継続して旧来体制で業務を実行している
といった状況です。
「そもそも論」でいえば、
・組織図に対する職務分掌(各部門の役割)が見直されていない
・組織の適用範囲の見直しが必要になるが、システム変更がされていない
・Webサイトやパンフレットにおける認証の引用に誤りが生じている
・・・
といった数々の審査上の問題が発生している状態です。
しかし、このような場合、認証機関としては、組織の動向を静観する、する方法論をとるしか無いのが現実でしょう。
オーナー会社の小規模組織なら、指摘すれば、社長の鶴の一声で、システム変更を一気に進められます。
しかし、しがらみのある大企業の子会社などは、組織の様々な事情で、杓子定規に審査をしても、組織はすぐには対応を取りようがないのです。
もちろん、組織不祥事や大きな製品回収事故のように、認証の信頼性に大きな影響がある問題であれば、即座に対応してもらう必要がありますが、そのような影響も低い場合は、「様子をみる」しかないでしょう。
このようなケースは、なかなか、正直ベースで審査報告書に現実は記載できないので、申し送り等で、次回以降の審査に情報を繋ぐのがベターな対応です。
組織事情や背景を理解して対応する力量も、審査員に求められている能力のひとつですね。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ781号より)
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