2022年4月16日に開催された早稲田大学主催の社会人向け講座「デジタル時代のマーケティング」に講師として登壇した牛丼チェーン「吉野家」の常務(当時)が発した“暴言”がなぜ、起きてしまったのか、を考えてみたいと思います。
この「デジタル時代のマーケティング」の講義の中で、講師である吉野家常務は、受講生に、
「若者が牛丼好きにする方法」を提案させようとしたそうです。
その際に、「不適切な表現で不愉快な思いをする方がいたら申し訳ない」と前置きし、問題の“暴言”とされる「地方から出てきた右も左も分からない生娘さんが、初めて(吉野家を)利用して、そのままシャブ漬けになるような企画」と表現したそうです。
この状況を想像すると、吉野家常務をかばうつもりはありませんが、「暴言」による影響の大きさ(SNSを通じた炎上、マスメディアによる連日の報道、吉野家の株価下落、常務の解任など)に対して、そこまで「悪意に満ちた発言」では、ないと思います。
しかし、有名企業の役員で、かつ、メディアにもよく登場する著名人で、社会人向け講座というクローズドな場とは言え、公の場で発言すれば、今の時代は「デジタルメディア」である「SNS」がありますから、このように世間を騒がせる結果になったのは当然でしょう。
仮に、私が担当するような「経営管理者向けセミナー」で、同様の発言をしたとしても、誰も話題にしないし、仮に、誰かがSNSでつぶやいても、拡散され、マスメディアが取り上げるような騒ぎには、私は著名人ではないし、誰もが興味を抱く企業出身者でもないので、ならなかったでしょう。
ちなみに、この吉野家常務は、慶大卒で、外資系の日用品大手に長年勤務し、ブランドマネージャーやグローバルのマーケティング責任者を経験していたそうです。
また、2018年10月に吉野家の常務に就任した後は、「マーケティングのプロ」としてメディアにたびたび登場していました。
つまり、
・ヘッドハンティングされ、常に周囲から期待されている
・激烈なマーケティングの世界で、常に結果を求められている
・社会人講座において受講生の心を鷲づかみしたいという高揚感
が、「過激な表現(生娘をシャブ漬け)」(暴言)が起きてしまった原因です。
また、「このような前置きや言い回しは、相手から許される」という環境に、この方が持つ経歴やマーケティングに関する業務経験、有名企業における常務という立場からあったことが「発言のボーダーライン」を見誤った原因でしょう。
世間で評価されるためには、「与えられた場で、爪痕を残したい」と考えるのは、誰にもあるでしょう。
しかし、高揚感にかられて、その場の勢いで発言する行為(何か爪痕を残す発言をしたいなら、あらかじめ、精査した表現を準備しておくべき)は、基本的に慎もう、という発想でいることが賢明といえるのでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ799号より)
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