組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「事業プロセスの統合と認証範囲」について。
品質マネジメントシステム規格の現行版は、「ISO9001:2015」ですが、この規格が発行された際に、初めて「事業プロセス」という用語が出てきました。
「事業プロセス」とは、要は、「組織の現状の業務」のことです。
なぜ、「ISO9001:2015」で、わざわざ「事業プロセス」という用語が使われたかと言えば、「規格の要求事項について、組織が実際に活動している業務の中に組み込んでマネジメントしてください」ということです。
ISOマネジメントシステムが誕生したときから言われてきたことですが、例えば、
・規格要求事項に対応するためだけにマネジメントシステムが構築されている
・組織の実際の活動と構築されたマネジメントシステムのダブルスタンダードである
・マネジメントシステムは絵に描いた餅で、審査のためだけに形骸化している
・マネジメントシステムが、有効に活用されていない
といった問題点が指摘されてきました。
そこで、「規格の要求事項を組織の実際の事業プロセスに組み込まなければならない」という思いが規格に込められているのでしょう。
さて、組織経営にマネジメントシステムを活用する場合、基本的には、「組織全体に対して適用すること」が効果的です。
また、マネジメントシステムを組織全体に適用することで、組織の様々な利害関係者の期待に沿う形になるわけです。
しかし、実際には、組織の一事業部門や機能だけを認証範囲とする場合も、もちろんあります。
どのようなケースかと言えば、例えば、
・組織の主要な製品・サービスのみを認証範囲とする
・組織の一部のサイトを認証範囲から除外する
・組織の研究開発部門を認証範囲から除外する
・組織の新規事業を認証範囲から除外する
・・・・
などです。
認証範囲について組織が、
「組織全体ではなく、一部分に認証範囲を限定する」
理由は色々あると考えられますが、例えば、
・利害関係者が限定されており、かつ、マネジメントシステムに対する期待が薄い
・収益化している事業を認証範囲としたい
・新規ビジネスについては、事業が安定した後に認証範囲としたい
・遠隔地のサイトは、本社と全く別のビジネスをしており、MSに対する顧客要求がない
などがあると考えられます。
(後編に続く)
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ763号より)
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