2021年5月26日に、国の地球温暖化対策の方針を定めた法律である「地球温暖化対策推進法」の一部改正が国会で可決されました。

改正のポイントは、大きく「3つ」あると言われています。

それは、

1)2050年までの脱炭素社会の実現が基本理念

2)地方創生につながる再生可能エネルギー導入の促進

3)企業の温室効果ガス排出量情報のオープンデータ化

です。

 

「地球温暖化対策推進法」の改正の背景には、「パリ協定」とそれを踏まえた国の「2050年カーボンニュートラル」宣言(2020年10月)があります。

そして、パリ協定やカーボンニュートラル宣言を受け、自治体では「ゼロカーボンシティ」、企業では「脱炭素経営」に取り組む企業が増加ました。

(※パリ協定:世界全体の気温上昇を2℃より十分下回るよう、更に1.5℃までに制限する努力を継続)

 

「地球温暖化対策推進法」の改正以降、よく耳にする用語に「SBT」があります。

「SBT」について、備忘録的に、整理しておきたいと思います。

「SBT」とは、「Science-based Targets」の頭文字を取った略称で、日本語では「科学的根拠に基づく目標(温室効果ガス排出削減目標)」とも呼ばれています。

 

この「科学的根拠に基づく目標(温室効果ガス排出削減目標)」ですが、企業に対して目標を立てることを求める管理団体があり、それが「SBTイニシアチブ」です。

SBTイニシアチブは、気候変動対策に関する情報開示を推進する機関投資家の連合体のCDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)の4団体によって2014年9月に設立されました。

 

《SBTイニシアチブの活動》

SBTイニシアチブでは、2050年といった長期的視点に基づいた、企業の温室効果ガスの削減に関するビジョンや目標を設定することを重視・推奨しています。

また、この目標設定を支援するためのガイダンスやツールも策定しています。

2022年3月8日現在、SBTの参加企業は、73カ国、2596社(認定取得は1210社)あり、日本は、196社(認定160社、コミット30社)と、アメリカ(197社)、イギリス(191社)に次いで3番目となっています。

つまり、いまや、事実上、パリ協定に沿った温室効果ガス排出削減目標策定のグローバル・スタンダードとなっています。

 

目標設定の方法論は、科学的根拠に基づく目標設定手法として、国際的に普及している手法を全て受け入れることとしていますが、SBTイニシアチブ自身が開発した「SDA(セクター別脱炭素化アプローチ)」を強く推奨しているます。

SDAでは、業種毎に実現すべき二酸化炭素排出削減目標が定められており、それを基準に自社の削減目標を設定していきます。

 

《SBT認定》

SBT認定までのざっくりとした流れは以下の通りです。

 

1 企業がSBT事務局にコミットメントレターを提出

※コミットメントレターは2年以内にSBTの目標を設定するという宣言

2 SBT事務局がコミットメントレターを受領(※企業はSBTコミット中となる)

3 企業はSBTの定める基準と合致するように、目標を設定

※目標の設定方法、内容はSBT事務局のマニュアルに従う

4 設定した目標をSBT事務局に提出し、SBT認定を申請

5 SBT事務局の専門チームによって目標の検証が行われる

6 提出した目標が基準を満たしており、認められればSBT認定取得

7 企業は温室効果ガスの排出量と取り組みの進捗状況を年1回報告して開示する

また、定期的に目標の妥当性の確認を受ける

 

どの世界でも言えることですが、「このゆびとまれ」方式で、世界的な流れが醸成されると、どんどん加速します。

「SBT」もまさにそれで、好む好まざるに関わらず、世界的に企業の取組みは加速していくでしょう。

SBTや関連情報については、動向に注目し、今後も取り上げていきたいと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ794号より)
 

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