組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「地方自治体の審査工数」について。
正確な年度はわかりませんが、2000年前後は、ISOマネジメントシステム認証を取得する地方自治体が多く存在しました。
2021年9月29日現在のJABのWebサイト情報からは、ISO9001(QMS)とISO14001(EMS)の「分野36公共行政」は、48件の登録(両規格取得の組織があるので、組織数は48件より少ない)が確認できます。
ただし、48件の中には、「公益財団法人」や「独立行政法人」、「清掃組合」もあるので、純然たる行政機関は、10数件となっています。
三枝和正氏(芝浦工業大学 指導教員中口毅博教授)の調査によれば、ISO14001の返上理由として、
・EMSの取り組みは、認証審査を受けなくてもやっていける
・職員の意識改革は認証審査を受けなくてもやっていける
・事業者や地域への環境への取り組みは認証審査を受けなくてもやっていける
・PDCAによる行政運営の効率化は、認証審査を受けなくてもやっていける
・自治体としての環境アピールは認証審査を受けなくてもやっていける
・財政状況が厳しい(認証継続、認証拡大)
・事務量が膨大で対応できない
・自己宣言や他のEMS規格の方がISO14001より魅力的
・市町村合併で(認証継続の)調整が難しかった
といったことが挙げられていました。
私は、政令指定都市(2箇所)と5~6組織の地方自治体の内部監査やセミナー等教育を担当した経験したことがあります。
自治体のISO事務局の方と話をし、ISO14001の認証を返上して、自己宣言に切り替えた後の内部監査を実施しましたが、その時の感想としては、
・外部監査がないと、改善が進んでいない(前例主義)
・内部監査だけだと、指摘が殆ど検出されていない
という印象でした。
そう考えると、現在、10数組織の地方自治体が、ISO認証を継続していますが、これらの自治体では「トップの強い意志」や「認証審査を通じて業務改善に繋がっている」という意識があるのでしょう。
これは、担当している認証機関が頑張ってくれているのだと思います。
(後編に続く)
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