組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「審査工数の決定記録」について。
審査工数の決定に関する代表的な認定基準は、以下の文書になります。
・ISO17021-1:2015 9.1.4 審査工数の決定 9.1.4.2
・IFA MD5:2019 4.3
具体的な内容としては、前者の基準では、
「マネジメントシステム審査の工数と、それを正当とする理由は、記録しなければならない」
と規定され、
後者の基準では、
「CAB の決定した審査工数、及びその決定を正当とする理由は、記録しておかなければな
らない。この計算には、認証の全範囲を網羅するために割り当てられる工数に関する詳細を含めなければならない」
と規定されています。
※CAB=Conformity Assessment Body:適合性認証機関(いわゆる審査登録機関のこと)
審査工数の計算については、一般には、少々マニアックな話題なので、言わずもがなですが、結論から言えば、
『認証機関は、審査工数をどのように決定したのか記録しなさい』
ということが決められています。
実際に審査工数を算出する際には、出発点は、「有効要員数と審査工数」という表があり、さらにQMSの場合だと、「複雑さと審査工数の関係」という組織毎に「考慮すべき要素」があり、審査工数が決定されます。
考慮すべき要素として「有効要員数」の場合は、例えば、
・非常勤の要員
・部分的に認証範囲に含まれる要員
・シフトワーカー
・事務部門及びあらゆる類の事務所要員
・類似又は反復プロセス
・国によっては大人数の未熟練要員の雇用
などがあります。
また、「複雑さと審査工数の関係」の場合は、例えば、
・要員が複数の言語で会話する
・従業員数に対して、非常に広いサイト
・常設サイトの活動を確認するために一時的サイトを訪問することが要求される活動
・外部委託した機能又はプロセス
・生じる恐れのある環境事故及びその影響のリスク
・マネジメントシステムの成熟
・・・
などがあります。
つまり、審査工数の決定は、工数算出の出発点となる「有効要員数」にも組織の業務特性を考慮する事項があり、さらに、組織毎に「複雑さ」を考慮するので、最終的には、「審査工数算出について力量がある」と認証機関によって認められた要員の判断に任せられる部分が生じるのです。
したがって、「審査工数をどのように決定したのか記録しなさい」という要求事項が認証機関には求められているわけです。
ちなみに、審査を受審する組織には、認証機関に審査費用の見積をお願いすると、おそらく、この複雑な審査工数決定に関するプロセスの詳細は示されず、結果としての決定された審査工数に単価を乗じた金額が示されると思います。
組織が、見積費用を比較する場合は、単に総額が「高いか安いか」を確認するだけでなく、組織の業務等の特徴のどの部分に着目して審査工数を算出しているのか、確認すると認証機関の「組織の適合性評価に対するポリシー」が見えるので、本来は望ましいです。
・・・しかし、ふつうは、結果としての審査費用が最大の判断材料になってしまうのかもしれないですね。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ751号より)
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