組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「認証審査で検出した不適合の是正処置の有効性」について。
認証機関の認定基準であるJIS Q 17021-1:2015では、認証審査における是正処置に関して、次のような要求事項があります。
(以下、規格から引用)
9.4.10 修正及び是正処置の有効性
認証機関は、依頼者が提出した修正、特定した原因及び是正処置を容認するかどうかを決定するため、これらの修正、特定した原因及び是正処置をレビューしなければならない。認証機関は、とられた修正及び是正処置の有効性を検証しなければならない。不適合の解決を裏付ける得られた証拠を、記録しなければならない。
(引用ここまで)
品質管理や苦情対応、マネジメントシステム運用に関わっている人なら、常識的な話ですが、「要求事項を満たしていないこと=不適合」が発生した場合、次のステップを経ることが必須です。
・不適合の修正
・不適合の原因の特定
・是正処置実施の必要性の評価
・是正処置の実施
・是正処置プロセスの検証
・是正処置結果の有効性の検証
具体的な事例で、考えてみます。
事例:天秤を外部校正機関で校正を、実施したところ、校正外れが判明した
修正:天秤を修理依頼した。また新規で天秤を購入し、計測することにした
原因:使用頻度が高いが、校正頻度を3年間としていた
天秤の保管環境が適切でなかった
※是正処置、結果の検証については省略
このようなケースの場合、言わずもがなですが「修正」が適切ではありません。
校正外れが判明した後の業務としては、「校正外れの天秤を修理に出す」、「修理に出している間は、校正証明書がある新品の天秤で計測を実施する」という対応は、間違っていません。
しかし、それだけでは、不十分で、例えば、
・正確でない天秤をいつから使用していたのか
・正確でない天秤を使用していた期間の製品への影響はどのように評価したのか
・製品への影響に適した対応処置は何をしたのか
などについて、少なくとも検証しておかなければ、ダメでしょう。
この事例は、わかりやすいので、殆どの人が、「当然そうだよな」と納得すると思いますが、「不適合に対する影響の評価と影響に適した対応」については、案外、「是正処置報告書」等に記載されていないケースはよくあります。
認証機関も「是正処置としては不十分なんだよな」と内心は、わかっていても、「これ以上強く是正処置を要求すると、組織が面倒くさがって、今後、指摘を受け入れてくれないんだよな」といった気持ちが働くこともあるのではないかと思います。
マネジメントシステムの信頼性については、監査側と被監査側の「理屈と理屈のぶつかり合い」で成り立つ部分もあるので、ケースバイケースではありますが、被監査側の記述が弱ければ、監査側は、それをフォローしておく記録が必要だと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ756号より)
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