2021年10月5日に、東海テレビが、

「委託先が修理せず放置…スーパー『バロー』冷却機能壊れたトラックで生鮮・冷凍食品を店舗に約1年間配送」

という見出しのニュースを報道していました。

 

このニュースによれば、

◆スーパー「バロー」が、冷却機能が壊れたトラックで生鮮食品などを配送していた

◆冷却機能が壊れていたのは、配送業務を委託する運送会社「アキタ」のトラック3台

◆最長で2020年9月から2021年9月までの約1年間にわたる

◆アキタは、肉や魚などの生鮮食品や冷凍食品を店舗に配送していた

◆2021年9月にバローに匿名の情報提供があったことで問題が発覚した

◆故障したトラックで食品が配送された店舗は、愛知・岐阜・長野のあわせて23店舗

◆故障したトラックは、荷室の温度が20度近くまで上昇することもあった

◆これまでに客から健康被害などの情報は寄せられていない

◆「アキタ」の営業所は、2021年4月に故障を把握していたが、修理せずに放置していた

ということです。

 

「スーパーバロー」ですが、首都圏では、馴染みがないので、ちょっと調べてみました。

《バロー》(ウィキペディアより)

・本社:岐阜県多治見市

・店舗:東海地方を中心に12府県に

・店舗数:246箇所(2020年10月)

・売上高:2976億7900万円(2021年3月期)

・特徴:日本のスーパーマーケットの中では販売管理費比率が低く、低コストで運営している

 

バローが配送委託している「アキタ」についても調べてみました

《アキタ》(組織のWebサイト)

・本社:名古屋市中村区

・営業所数:26箇所(北は宮城、南は熊本)

・車両台数:681台(大型車548台 中型車128台 小型車5台)

・売上高:165億4876万円(令和3年7月期)

 

報道では、バローは、アキタに店舗間の配送業務を委託していたそうなので、「仕入商品倉庫から各店舗へ配送」、「ハブとなる店舗で加工した生鮮品を各店舗へ配送」について、アキタは委託されていたのでしょう。

 

消費者目線で捉えれば、配送は委託先業者が実施していますが、バローで購入した商品の「品質や食品安全」に対する責任は、元請のバローにあります。つまり、消費者への謝罪と原因究明や再発防止は、しっかりと実施し、説明する必要があります。

不思議なのは、匿名の通報がバローに入るまで、バローが「ルール通り実施されていない配送委託業者(アキタ)の業務に気づかなかった」ことです。

 

スーパーでは、通常、冷蔵や冷凍商品を各店舗に納品された時点で、表面温度を計測する、あるいは、目視で商品の状態を確認します。

また、委託先の配送業者には、冷蔵、冷凍車の定期点検記録を提出させて、冷凍・冷蔵車両が適切に管理されているか確認します。

さらに、定期的に、配送業者の冷凍・冷蔵車両の温度管理記録を提出させて確認しています。

 

したがって、バローには、

・納品時に商品の表面温度を測る仕組みがない

・納品時に商品の目視確認の仕組みがない、あるいは、担当者に確認能力がない

・配送委託業者が保有する冷凍・冷蔵車両の温度管理記録を確認する仕組みがない

・配送委託業者の冷蔵・冷凍車両の日常点検記録を確認する仕組みがない

といったことが考えられます。

 

また、配送業務をバローより受託していた「アキタ」は、

・冷蔵・冷凍車両の故障を営業所責任者がチェックする仕組みがない

・車両の故障に気づいても顧客に報告するというコンプライアンス意識が欠如している

・輸送している商品が「生鮮、冷凍食品である」という「食品安全意識が低い」組織である

・・・

といった可能性があると考えられます。

 

アキタのWebサイト(品質のページ)には、

「物流においての「品質」は納期遵守、商品の品質維持、環境品質など、様々な分野に及びますが、当社はその中でも特に「商品の品質維持」に力を入れています。」

「コンプライアンスなどをテーマにした教育活動を行っています」

といった記載がありますが、今回の報道では、「少なくとも2021年4月から約半年間、故障を放置」していたので、虚しく、顧客の信頼を裏切る話だと思います。

 

2021年10月4日付けのバローはWebサイトで発表している

「弊社店舗への商品納品トラックの冷凍機故障」についてのお詫びとご報告」

によれば、再発防止策として、

 (1)配送会社の温度記録の確認体制の構築

 (2)店舗側の商品受入時の温度確認・運用体制の強化

の2点を挙げていました。

今後は、再発防止の実施状況を公表することが少なくとも必要だと思いますが、個人的には、「第三者機関による認証」(例:ISO22000、FSSC22000、ISO9001など)を取得し、定期的に、しっかりと第三者の目で、再発防止策が有効に機能しているか否かを検証して欲しいものです。
 

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