組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「情報の入手と検証」について。
ご存知のように、マネジメントシステム監査(審査)では、審査基準への適合性を検証するために審査証拠となるように、情報を入手します。
要は、当たり前ですが、ブランドイメージや組織の訪問時の印象だけで、適合/不適合を評価することがあってはなりません。
審査証拠の収集方法は、ISO17021-1:2015によれば、以下のように規定されています。
(以下、規格より引用)
9.4.4 情報の入手及び検証
9.4.4.2 情報の入手方法には、次を含めなければならないが、これに限定するものではない。
a) 面談
b) プロセス及び活動の観察
c) 文書及び記録のレビュー
(引用、ここまで)
現地審査であれば、その比率はともかく、「面談」、「プロセス及び活動の観察」、「文書及び記録のレビュー」は、通常、実施しています。
現地審査に訪問すれば、経営者や各プロセスの担当者から「聞き取り」しますし、実際の執務室や製造現場を巡回して、各担当者の作業状況や業務環境を観察します。
また、作業現場で使用している記録や手順書、会議室における直近1年程度の記録のサンプリングによる検証をどんな審査員でもやります。
つまり、「情報を入手し検証したか」という点においては、会議室で、まるで講演会や講習会のように「自説を延々と語る審査員」でない限り、実施しています。
ポイントは、これらの「情報の入手と検証が適切かどうか」という妥当性です。
《面談》
面談において、気になるのは、「被監査側の回答をそのまま鵜呑みにする」ケースです。
審査の時間に制約もあるし、警察のように「捜査」ではないので、ある程度「性善説」にはなるのは仕方がないですが、「被監査側の回答の確からしさの検証」は、審査において必要です。
例えば、
・経営者インタビューで得た情報の各部門での展開状況
・同じ質問を異なる人に聞き取りする
・想定される回答に対する追加の確認用の質問を用意しておき検証する
などです。
「もっと検証した方がいいのではないかな?」というケースとして、例えば、「緊急事態の発生」です。
多くの組織の事務局に対する聞き取りで、「実際に発生したケースは何かありますか?」と問えば、「発生事例はありません」との回答になり、審査員は、「では、訓練計画と訓練結果を見せて下さい」と次の質問に移ってしまいます。
しかし、例えば、
・設備部門で、停電や設備トラブルの有無を確認する
・組織がある地域の地震、落雷、冠水等の情報の有無を事前に確認しておく
といった準備をしておけば、「緊急事態の発生例はないと事務局は回答したけど、○月に落雷があって長時間の大規模停電があったはず」と切り返しの質問と検証ができるのです。
(※ISO認証制度:情報の入手と検証(その2)に続く)
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ761号より)
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