組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「日常の業務遂行プロセスからの不適合とその是正処置」について。
◆是正処置対象は、顧客を含めた第三者苦情ばかりではない◆
組織に訪問して、是正処置プロセスの手順と運用事例を確認していると、「顧客苦情に関する是正処置以外の事例が殆ど見当たらないケース」によく遭遇します。
マネジメントシステム監査は、性善説を前提にインタビューしてマネジメントシステムの適合性、有効性を確認するので、組織でインタビューに対応してくれた方に対して「苦情以外の是正処置事例がないのはおかしいでしょう?!」と面と向かって決めつけた言い方はできません。
こうした「苦情に伴う是正処置事例しかない」ケースの組織には、以下のような傾向があります。
◆日常業務の中で問題があっても、担当者のみで処理され記録もない
◆日常業務の問題点は部門長に報告して終了となっている
◆是正処置事例を管理責任者は経営層(例:MR等)にインプットするルールにはなっているが、そもそも部門内で問題は処理され是正処置にまで至っていない
◆管理責任者に各部門長からの不適合や是正処置情報が上がる手順になっていない
◆重大な不適合を部門長は管理責任者に報告する手順であるが重大の定義がない
◆是正処置の有効性の確認を誰が行うのか明確に規定されていない
・・・
要は、「顧客苦情に伴う是正処置事例しかない」ケースの殆どが「問題点は、担当者、あるいは部門内で処理される自己完結型」となっていることが殆どなのです。
よい意味で捉えれば「自分の責任で問題は解決して、組織として対処すべき問題を絞り込みなさい」という「部門毎の自主性」を重んじているわけです。
しかし、多くの組織不祥事事例を解析してきた経験から言えば、「問題の部門完結型組織」が、不祥事の根本原因ではないかと思われるケースが多いです。
特に、この場合、売上げが伸びている、コスト削減の一環でスタッフが減らされている・・・といった「各担当者の業務負荷が増大傾向の時」に、発生しやすいです。
組織全体で業務負荷が膨大になっているときに、いちいち、問題を部門長に上げ、部門長も管理責任者に情報を上げて共有化を図ることなどしないのが、特に日本人の特性でしょうから。
例えば、あなたが、内部監査員の立場であれば、「是正処置事例が顧客苦情しかない」という状態がわかった時点で、「本当かなぁ」、「なんか変だなぁ」という目線で、マネジメントシステムがどこでスタックしているのかチェックしなければ、マネジメントシステム上の問題点や改善点が放置され、ひいては「検査データの改ざん」や「承認された手順と違うプロセスで製造する」といった組織不祥事につながることは間違いないでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ741号より)
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