組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「非認定認証書の発行の禁止」について。
◆ISO認証書の信頼性確保と市場に誤解を与えないことが重要◆
ISOマネジメントシステム認証機関に要求される認定基準として、「IAF Resolution」というものがあります。
これは、各国の認定機関が加盟している「IAF(国際認定フォーラム)」が、「IAF総会」において決議された事項です。
この「IAF Resolution 2016-2017」の中のひとつに、次のような決議があります。
(決議概要)
・認定範囲内の非認定認証書発行の禁止
・認証機関は(2019/11/6まで)に、認定下の認証文書への移行を完了しなければならない
・初回認定/スコープ拡大を受けた場合は、1年以内に認定下の認証文書へ切り替える
ご存知のように、認証機関の認定は、品質マネジメントや環境マネジメント(QMS、EMS)の場合、産業分野が39分類に区分けされていて、分野毎に認定を受けています。
したがって、この「IAF Resolution」では、例えば、ある認証機関が「17 基礎金属、加工金属」の分野の認定を保有している場合、必ず、「認定証付の認証書を発行しなさい」というIAF総会において決議がされたわけです。
通常、組織は、「認定された機関の認証書」の発行を望みます。
しかし、組織によっては、「第三者機関に審査されることが重要」と捉え、「認定マークの無い認証書でもうちはOK」という組織があります。
また、認証機関によっては、「認定基準に沿わないルール(※)で認証審査を実施し、認定マーク無しの認証書を発行していた機関」もかつてはあったと聞きます。
(※例として、力量基準を満たさない審査員の配置、審査工数が認定基準を満たさないなど)
ただ、そうなると、上記の例で言えば「分野17の認定を受けている機関の認証書にも関わらず、「認定マークがある認証書」と「認定マークの無い認証書」が存在することになります。
これは、公表された認証に対して、市場に対する誤解や「本来、認定のある認証書の価値を下げる」ことになりかねません。
そこで、このようなIAF決議がされたのです。
少し面倒な事例が、組織の産業分野が、複数分野あり、そのうち一部の分野について、認証機関が認定を持っていないケースです。
例えば、
・認証機関が持っている認定分野(産業分野):17
・組織の産業分野:17、18(機械、装置)
といった場合です。
この事例であれば、一般的には、認証機関は、「認証書を2枚に分ける」と思います。
この場合、認証機関が気をつけなければならないのは、「分けた2枚の登録番号を同一としてしまうこと」です。
形式的には、「認定された認証書」と「非認定の認証書」は、異なるものであるが識別番号を同一としてしまうと認定基準からはずれ「不適合状態」となります。
また、この「認証書を認定と非認定の2枚に分ける」は、「製品・サービスの名称が分野17と18にきちんと分けられる場合」です。
組織の製品・サービスが分けられない場合は、「1枚の認証書として発行するしか無い」ですが、認証機関が気をつけなければならないのは、以下の場合です。
認証書の発行パターンとしては、
1)認定マークを付与した認証書を発行し、非認定分野がある注釈を記載する
2)認定マークは付けずに認証書を発行し、認定された分野がある注釈を記載する
のパターンが考えられますが、結論から言えば、「前者はアウト」、「後者はセーフ」となります。
一般的には、なかなか理解するのが難しい話しかもしれませんが、ISO認証制度に関する業界では常識的なことなので、頭に入れておくことが肝要です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ743号より)
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