仕事で、大手コンビニや大手スーパー向けの専用工場に訪問することがあります。

詳しい契約形態までは、お聞きしていませんが、イメージとしては、「生産量が安定していていいな」と思います。

 

しかし、仕事量は安定しているのですが、

・必ず、要求された生産数量を確保し、納期を遵守しなければならない

・しょっちゅう品質、食の安全面の二者監査が入る

・常に、要求生産数量に合わせた設備投資や人材確保をしなければならない

・小売の出店計画に合わせて(見込んで)設備投資を行わなければならない

・・・

といった苦労も伴うようです。

 

例えば、私たち消費者は、コンビニのおにぎりやパン売り場をチェックして、品揃えが悪いと、「選択肢が少ないなぁ」と不満を持ちます。

また、「もっと、いろいろな種類のおにぎりやパンを開発してくれればいいのに」という気持ちも芽生えます。

 

けれども、作り手の立場で考えれば、

・原料の種類が増えると、不良在庫のリスクが増える

・期間限定商品は、原料リスクや設備の段取り調整がリスクとなる

・少量多品種は、段取り替えロスなど製造リスクが増加する

・凝った商品は、専用設備が必要になる場合がある

・・・

といった「厄介な問題」が発生します。

 

少し話題はそれますが、各社コンビニが、5~6年前に相次いで「ドーナツ事業」に参入しました。

ドーナツ自体は、以前からコンビニで扱っていましたが、「持ち帰りコーヒー」の成功に乗して「コーヒーのお供商品」として、ドーナツを売り出したのです。

しかし、結果的には、大失敗でした。

要は、日本の市場におけるドーナツの市場を広げることにつながらず、既存のパイを奪い合っただけ、だったのです。

 

さらに脱線しますが、ざっくりした話として、スターバックスやドトールの売上げ規模は、1500億円程度、コンビニ全体の持ち帰りコーヒーの売り上げは2000億円程度あり、コンビニの持ち帰りコーヒーは、既存のコーヒーチェーンの客を奪うどころか、新たな市場を生み出したの、「店舗コーヒー業界」としてみれば、万々歳でしょう。

 

しかし、ドーナツは、業界ダントツ1位のミスタードーナツで約1000億円。

しかも、年々、ミスドの売上げは減少傾向です。

要は、コンビニコーヒーのように、新たな市場が生まれず、既存のパイを奪い合っただけだったのです。

ドーナツ自体は、私も好きで、私の場合「ランチやディナーにもなり得る」ものですが、一般的には「嗜好品」ですし、昨今の糖質ダイエットブームもあり、コーヒーと違って、パイは確立してるのでしょう。

なお、レジ脇に、かつて「ドーナツ専用什器」として置いてあったケースには、いまは、フライドチキンやコロッケが入れられている店舗をチラチラ見かけますね(苦笑)

 

話題を冒頭の「専用工場」の話に戻しますが、もの作り現場の「脅威」は、「いい商品を作っても売れないこと」(販路や広告宣伝力)です。

したがって、大手小売の協力工場や専用工場になることは、「経営の安定」(機会)には繋がりますが、それと引き換えに、さまざまなリスクと闘っていることを私たち消費者は、感謝しないとな、とあらためて感じた次第です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ734号より)

 

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