2021年4月3日付けの読売新聞オンラインが、
「三井物産「30歳で部長級」も…新人事制度、昇進期間は半分に」
という見出しの記事を報じていました。
記事によれば、(※筆者が編集)
◆三井物産は、2021年4月から人事制度(キャリアチャレンジ制度)創設した
◆実績に応じて管理職に登用する人事制度で、最速で30歳代前半で部長クラスに起用する
◆総合商社は、若手の退職が課題になっており、働きがいのある職場をつくることが狙い
◆対象者は、入社4年目以上の若手社員
◆管理職が担当するプロジェクトを任せ、2年間で成果を出せば、正式に管理職に登用する
◆大卒の場合、制度を使えば、最速で8年目以降に部長クラスの権限や待遇を受ける
◆10年目に部長に昇進できるが、これまでの制度では早くても16年目以降だった
◆一方、管理職では、専門性のあるキャリアを磨く「エキスパート」コースの新設を検討中
◆管理職になると、専門性を生かしたいと思っても、別の職責が求められるため
◆このコースでは実績に連動した報酬の割合も増やし、仕事の成果を反映させやすくする
・・・
ということです。
この記事だけでは、「キャリアチャレンジ制度」と「エキスパートコース」の詳細がわかりませんが、総合商社が、優秀な人材には長く働いてもらうためには、よい人事制度改革だと思います。
一般論として、昭和、平成初期の価値観は、
・大企業に勤めれば、安定した給与と定年までの雇用が保障される
・大企業で頑張れば、勤続年数とともに、高給取りになれる
・ベンチャー企業は、働きがいはあるが、安定面ではリスクが高い
・・・
といった考えが基本だったと思います。
したがって、これらを総合的に判断して、
「俺は、○○大卒で学閥があるから、将来、幹部になれそうだからここで働き続けよう」
「給与水準と雇用の安定面はリスクだが、ハイリターンを期待してベンチャーに進もう」
「平社員でも雇用の安定性を優先して会社にしがみつこう」
・・・
といった判断をしたと思います。
しかし、今の時代、大企業に就職できても、「一生安泰」という時代では無くなりました。
また、今の若者は、「若いうちに稼いでFIREしたい」という志向が強くあります。
(※FIREとは、Financial Independence, Retire Early、つまり「経済的自立による早期リタイア」のこと)
そういう時代ですから、総合商社に入社しても、最速で16年経過しなければ、部長級になれないのでは、優秀な人材が、その組織で働き続けるモチベーションにならないのは当然でしょう。
ただ、間違ってはいけないのは、「専門職と管理職のあり方」です。
組織で仕事をする場合、「管理する立場の人と指示に基づいて働く立場の人(専門職や一般職)」がいるのは当然です。
しかし、だからといって、
・管理職は専門職より高給取りである
・専門職の上位職が管理職である
といった考えで人事制度を構築するのは間違えです。
組織で仕事をする場合、
・チームをまとめ上げる力
・個々の力を組織力として最大限に引き上げる力
・組織的に仕事を効率的にまとめマネジメントする力
・各人の意欲を引き出す力
・各人の効果的なキャリアアップを計画実行する力
・部門に与えられたミッションを確実に達成する力
・・・
などが「管理職」に求められる能力です。
つまり、「単なる契約件数を多く取った」、「仕事を他人の2倍速く実施できる」、「顧客満足が高くミスの無い仕事をする」といった「成果を出せる人」=「管理職適性がある人」では無いからです。
スポーツ選手に例えれば、「名選手=名監督にあらず」です。
したがって、
・管理職より「成果」によって高給取りの専門職がいる
・管理職は20代、30代で、50代、60代の専門職を上手く使いこなす
・成果を出し続けている専門職は、管理職にならずとも組織で活躍できる
・・・
といったことにもできる人事制度にしなければだめで、そうでなければ、上手くいかないと思います。
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