組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「文書化した情報の妥当性レビュー」について。
ISOマネジメントシステム認証制度における認証規格(ISO9001、14001など)では、「文書化した情報」に関する要求事項として、
(以下、ISO9001:2015より引用)
「7.5.2作成及び更新
文書化した情報を作成及び更新する際、組織は、次の事項を確実にしなければならない。
c)適切性及び妥当性に関する、適切なレビュー及び承認」
(引用、ここまで)
というものがあります。
実際、審査の中で、審査員が組織に対して、真正面からこの要求事項についての質問をすれば、組織は、例えば、
「当社では、内部監査やマネジメントレビューを通じて、各文書の適切性及び妥当性を確認しています。確認した証拠として、マネジメントレビューの議事録に、レビューした文書を記載しています」
・・・というような回答があり、審査員もあっさりと、それを受け入れるでしょう。
審査員は、よっぽどの根拠や確証がなければ、組織側の回答に対して、形式的であっても証拠の記録があれば「それは、本当ですか?」と疑った追求はできません。
したがって、文書化した情報の適切性及び妥当性のレビューがしっかりされているかどうかについての審査は、実際に組織の手順が運用されている事例を確認し、
例えば、
・運用手順通りでない運用事例が散見される
・運用手順通りに実施されてはいるが、計画通りに運用され事例が殆どない
といった事例を見つけて、指摘するのが王道となります。
差し障りがあるので、少し脚色しますが、私が経験した事例では、配送業における配送要員の力量評価手順について、「適切性及び妥当性のレビュー」が不十分という事例がありました。
その組織では、配送要員の力量について、
・顧客アンケート
・納品不具合件数
・事故件数
・定期的な同乗監査
によって評価していました。
しかし、「同乗監査」は、ここ数年、計画実施率が50%程度で推移していますが、そのまま特段の対応はとられていませんでした。
このような場合、配送要員の力量評価手順が、
・顧客の品質やコスト要求に見合ったものか
・組織の経営資源に見合ったものか
・同乗監査の方法や内容は適切か
・・・
といったことを総合的に勘案し、配送要員の力量評価手順の「適切性及び妥当性」をレビューする必要があるのです。
認証規格の要求事項に対して、ダイレクトな質問をすれば、適合性が認証されている組織(認証組織)であれば、なんらかの記録があるのは当然です。
実態を審査で確認しようと思ったら、このように組織が決めた手順が運用され、有効かつ効果的に機能しているかどうかを、事例で確認するしかない、という審査の基本に立ち返って見るしかないですね。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ737号より)
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