2021年2月28日に開催された第76回びわ湖毎日マラソンは、日本マラソン界にとって、歴史的な大会になりました。
大学時代は、神奈川大学のエースとして箱根駅伝2区では区間賞(3年次)を出し、2018年の全日本大学駅伝(4年次)では、神奈川大学を20年ぶりの優勝に導いた富士通所属の鈴木健吾選手が、2時間4分56秒という驚異的な記録の日本最高記録を樹立したのです。
詳しくは、各メディアの報道に委ねますが、マラソンファンとしては、備忘録的に、この日のびわ湖毎日マラソンを振り返っておこうと思います。
《世界歴代57位》
鈴木選手の記録は、現時点で、世界歴代57位タイです。
2時間5分を切ったタイムで走った選手は、これまで58人います。
しかし、鈴木選手以外は、いずれも、アフリカをルーツとした選手で、内訳は以下のようになります。
・エチオピア:33人
・ケニア:22人
・トルコ:1人(ケニア出身)
・バーレーン:1人(モロッコ出身)
・ベルギー:1人(ソマリア出身)
話は少しそれますが、マラソンに限らず、殆どの競技スポーツの競技レベルが上がると、究極的には、選手自体の努力や技術だけではない「持って生まれた体質」勝負になってしまうという不都合な真実がデータ的にもはっきりしています。
マラソンの場合、事実上、黒人以外では、鈴木選手が「初の2時間5分以内の選手」になったので、タイムだけみても「すごい」ですが、「黒人以外初」というのもすごいです。
《サブテンが40人》
今回のびわ湖毎日マラソンが「すごかった」のは、サブテンランナーが、42人(うち2人は外国人選手:戸上電機製作所のカリウキ選手、NTNのバトオチル選手なので、日本人選手は40人)がひとつの大会で誕生したことです。
この理由は、
・2月開催の別大、3月開催の東京が延期になり、トップランナーがびわ湖に集結した
・ペースメーカーの設定が日本人向きだった(第1:2分58秒、第2:3分)
・びわ湖のコースは高低差が少ない
・気象条件がよかった(ほぼ無風、9時が7℃、湿度57%、11時20分で10℃)
・海外からの有力外国人選手がいなかったので、極端なペースの上げ下げがなかった
などではないかと思われます。
それにしても、日本人選手のサブテンは、「The PAGE」によれば、
・2016年が6人
・2017年が9人
・2018年が16人
・2019年が8人
・2020年が29人
だったそうです。
それが、2021年2月の時点で40人!!
急激な日本人選手のレベルアップです。
《数々の記録が誕生したびわ湖》
思いつくだけでも、以下の記録が誕生しています。
◆初マラソン日本人最高タイム
2時間7分42秒:作田将希選手(JR東日本)
(従来の記録は、2003年の藤原正和選手の2時間8分12秒(びわ湖))
◆初サブテン日本人最年長記録
2時間9分40秒:中村高洋選手(京セラ鹿児島)37才6ヶ月
→中村選手は、フルタイムのサラリーマンランナーで、名古屋大学大学院修了の技術者です
◆19年ぶりにびわ湖で日本人選手が優勝
2002年の武井隆次選手(2時間8分35秒)以来で日本人選手が優勝しました。
また、キプサング選手が持っていた大会記録(2時間6分13秒:2011年)も更新です。
《自己ベストタイムが大きく飛躍したランナーが多かった》
リザルトをパッと見た印象なので、漏れている選手もいると思いますが、以下の選手などが大幅に更新しています。
・2時間6分26秒:土方英和選手(Honda)
(これまでの記録は、2時間9分50秒)
・2時間6分35秒:細谷恭平選手(黒崎播磨)
(これまでの記録は2時間28分)
・2時間8分12秒:内田健太選手(埼玉医科大学G)
・2時間9分15秒:谷原先嘉選手(大阪府警)
など
《川内優輝選手が8年ぶりに自己ベスト更新》
川内選手が、プロ転向(2019年4月~)後、初のサブテン、しかも自己ベストを大幅に更新です。(現在、日本歴代20位)
2020年12月の福岡国際で2時間13分台でしたが、2週後の防府読売マラソンで、2時間10分26秒と、あと少しでサブテンだったので、調子が戻ってきた、と期待していました。
川内選手は、第2グループの前方にしっかりポジションして、テレビを見る限り余裕がありました。
ただ、最近のレースでは、キロ3分ペースに20キロ手前でおいて行かれるパターンが続いていたので、「ついて行けるかなぁ」とどきどきしながらテレビ観戦していました。
しかし、テレビに映された25キロ通過でしっかりキロ3分集団についていて、表情にも余裕があったので、後半に強い川内さんなら、8分台は出せるかも、と思いつつ、鈴木選手の日本最高更新に声援を集中していたところ、なんと、2時間7分27秒の10位でゴール!!
コロナ禍以前は、年間5~6レースで、ゲストランナーとして参加される川内選手にお会いしていました。
しかし、202年は、ほとんど大会ゲスト参加がなく、トラック競技やハーフマラソンに積極的に参加されていたので、スピード持久力が戻って来たのかもしれないですね。
また、川内さんの座右の銘「現状打破」をしたがって、今年からアシックスの厚底(メタレーサー)シューズを履いて練習していたそうです。
また、2月は、コモディイイダの練習に参加し、12月の大阪国際女子、2月の実業団ハーフを走った奥さんの侑子さんが練習サポートされていたので、その効果もあったのでしょうね。
余談ですが、川内家の次男、川内鮮輝選手(Jaybird:国分寺市役所職員)も、今大会で2時間15分50秒の自己ベストで完走されています。
それにしても、1965年から滋賀県に移されて開催されてきたびわ湖毎日マラソンは、今回が「最後」となり、2022年からは、大阪マラソンと統合(仮称:第10回大阪マラソン・第68回びわ湖毎日マラソン)するそうです。
厚底シューズの登場、東京五輪(MGC)に向け日本人選手のモチベーションが向上した、びわ湖の気象条件がよかった、などの理由はあるにせよ、有終の美を飾った大会となったびわ湖毎日マラソンでした。
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