ついに、16年ぶりに、高岡寿成さん(現鐘紡陸上部監督)が持っていたシカゴマラソンでの男子マラソンの日本記録(2時間6分16秒)が更新されました。
備忘録代わりに、少しレース結果に触れておきます。
男子リザルト(上位10人)
1位 2時間5分30秒 ディクソン・チュンバ選手(ケニア)
2位 2時間6分11秒 設楽悠太選手(HONDA)
3位 2時間6分33秒 アモス・キプルト選手(ケニア)
4位 2時間6分47秒 ギテオン・キプケテル選手(ケニア)
5位 2時間6分54秒 井上大仁選手(MHPS)
6位 2時間7分30秒 フェイサ・リレサ選手(エチオピア)
7位 2時間8分8秒 木滑良選手(MHPS)
8位 2時間8分45秒 宮脇千博(トヨタ自動車)
9位 2時間8分48秒 山本憲二(マツダ)
10位 2時間8分58秒 佐藤悠基(日清食品グループ)
東京マラソンで、このようにベストテンに日本人選手が6人入り、しかも日本人選手のサブナイン(2時間9分切り)が6人も出たレースは、ひさびさ(初めて?)ではないでしょうか。
ひと昔前なら、福岡国際マラソンなど国内レースで、2時間8分台の選手が4~5人出たこともありましたが、近年のレースでは見ることがなかったので、テレビを観戦しながら、手に汗握る状態でした。
この結果で、MGC出場権を6人が獲得し、瀬古利彦マラソン強化プロジェクトリーダーはとても嬉しそうでした。
感心したのは、瀬古さんはもちろん、解説者の金哲彦さんや増田明美さんも、日本記録更新や好記録が続発し興奮する中、選手たちは極めて冷静だったことが印象的でした。
例えば、レース後の設楽選手へのインタビューで、
「実業団マラソン特別強化プロジェクトから1億円の報奨金」について聞かれ、
「最後まで『1億円取ってこい』と声をかけてくれる方々がいたので、しっかりがんばれた」
と淡々と答えていました。
もっと、喜びを爆発させ、「東京五輪を目指して頑張ります」といったコメントを満面の笑みでするのかと思っていましたが、非常に冷静で、「現在の心境」を聞かれても、
「いまはちょっと休みたい。次はまだ試合の予定がない。3月はもう走らない。土日試合がないとサボっちゃうので(中略)試合があると、日頃の練習を頑張れる。いまの練習は間違っていない。(中略)たくさん沿道から応援されるのは東京マラソンしかない。沿道の方々のおかげで取れた」
と率直な心境を述べていました。
また、日本人選手2位で2時間6分54秒の好タイムを出した井上選手は、設楽選手に負けたことが悔しいことの方が強いようで、タイムについては、「次はもっと頑張って5分台を目指したい」とこれまた、冷静に先を見ていました。
2時間8分台を出した4人のインタビューも、いずれも自己ベストを更新しているにもかかわらず、「このぐらい走れることは練習の調子でわかっていた」と自己記録更新の喜びよりも「終盤の失速」と「この結果ではまだまだ勝負できない」という反省の思いの方が強く感じられ、「今日の結果はゴールじゃない」という強い意思が感じられ、いちマラソンファンとしては、頼もしく感じました。
平昌五輪を見ていても感じましたが、なかなかトップアスリートの環境は、一部の恵まれた人でない限り、本人の努力だけではカバーできない部分があるので、無責任に「次はもっと頑張ります」といえないこともあると思います。
けれども、今日の日本人上位6人に、「このぐらいできて当然、むしろもっと頑張れなくて悔しい」という気持ちが強く見られ、きっと惜しくもサブテンできなかった一色選手(2時間9分43秒)や村澤選手(2時間9分47秒)もきっと同じような心境でしょう。
山の神こと神野大地選手(2時間10分18秒)や初マラソンの大学生鈴木健吾選手(2時間10分21秒)も今後を期待させる結果となりました。
月並ですが、「俺も俺も」となっているときは強いです。
数年前まで馬鹿にされていた「レースに出場して調整する川内優輝方式」を取り入れる実業団選手も設楽選手をはじめ増えてきました。
10数年ぶりに、日本マラソン男子の時計の針が動き出した気がした2018年の東京マラソンでした。
最後に、平昌五輪では「北海道弁」の「そだねー」のカーリング女子(銅メダリスト)が話題になりましたが、今回の東京五輪でも、道産子女子の市民ランナーの高浜香澄選手が2時間40分を切って(2時間39分49秒)女子総合16位に入りました。
確か、高浜選手は、マラソンを始めたのが2012年ぐらいで、実質5~6年の負けず嫌いのランナーさまです。
学生時代はバスケットボール部で陸上とは無縁だったそうです。
彼女は北海道市民ランナー界では有名人なので、きっと、私たちが想像する以上の練習量とプレッシャーがあったことと思います。(おめでとうございます!!)
凄すぎて、言葉になりません。
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