テレビコメンテイターとして活躍していた「ショーン・マクアードル川上氏」の経歴詐称疑惑報道が止まらない。

フジテレビやテレビ朝日などコメンテイターとして起用してきたテレビ局は、「残念です」的なコメントをさらっと出し、この騒動からの早期の幕引きを図っているように見えるが、ショーン氏を起用していなかった日本テレビは、情報番組を見ていると、相当攻撃しているように感じる。


ショーン川上氏の件で、前々から感じていたが、「やっぱりそうなのか」と思ったことがある。

それは、テレビ局の「テレビ出演者の経歴に関する身体検査の不十分さ」である。


これは、コメンテイターに限らず、俳優や歌手、お笑いタレントを含めてテレビタレントはみなそうなのであるが、「どこかのテレビ局がそのタレントを起用するまでは、ハードルが高いが、起用され、そつなく役割を果たせば、他局がどんどん起用しだす」ということである。


一説によると、テレビタレントの経歴書は、所属事務所が用意するが、起用するテレビ局は、その中身をほとんど自ら検証しない「業界慣習」となっているという。

そして、あるテレビ局が起用した時に使用された「経歴」は、「正しいもの」として、他局がそのタレントを使う際は、さらに検証がされないで、そのまま使われる、ということらしい。


これは、製造業など、通常の業務の委託先、協力工場、下請け業者といった「発注先」を選定するプロセスとして捉えた場合「あり得ないほどずさん」である。

製造業などで委託先等を選定する場合「他社が使った評判のみで評価し選定する」というケースもあるが、いわゆる管理がしっかりしている一流企業であれば、自らの責任で「発注側の要求事項を満たす能力があるか書類やインタビュー、製品サンプルなどを取り寄せ、自ら評価をする」というのが常識である。


しかし、テレビ業界は「他社が起用して、公に発信された情報」というものを、なぜか「まるまる信用してそのまま使う業界」なのだ。

だから、ショーン川上氏の話題に戻せば、最初に紹介され、いつのまにか「公然の事実」となってしまったことはその後の検証がされない(あるいは不十分でずさん)から、連鎖的に問題が波及するのである。


話は少し逸れるが、2016年は、カレーショップのココイチが、「異物混入の恐れあり」として廃棄したビーフカツが、産廃業者(ダイコー)によって適正に廃棄処分されず、横流しされ、スーパーで売られていた、という事件が発覚した。

この事件から、学ぶべきことは「当社の委託先の選定評価内容を見直す必要があるかもしれない」ということである。


一般的に、委託先を評価する場合、品質面や安全面といった点は、直接的に影響が出やすいからチェックしているが、例えば「委託先の廃棄物の管理は十分にされているのか?」といったことは、いままでノーマークであった会社が多い。

産廃業者にごみの処理を委託するにあたっても「許可業者だし、適正に処理されているはず」と考え、例えば、処理を委託した廃棄物の現地・現物確認は、殆ど意識していなかった。

応用編で考えれば、例えば、生産をOEMとして協力工場に作らせている場合など、その協力工場の廃棄物の管理がずさんであれば、自社のブランド名が明記された廃棄物が不法に処理されることとなり、ひとたび問題が発生すれば、道義的責任を含め、影響は計り知れないほど大きくなる。


これらの事例は、「タレント起用に関する身体検査」や「廃棄物処理に関する選定基準の見直し」といった「今までの慣習や常識」でふつうにやってきたプロセス(活動)を、検証・改善するいいチャンスととらえて見直しをしないと、また同様の問題は発生するだろう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ481号より)


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