2008年11月11日に参議院外交防衛委員会で、政府見解と異なる意見を発表して更迭された田母神俊雄前航空幕僚長に対する参考人招致があった。

参考人招致で田母神氏は、
「自衛官の言論の自由は、村山談話で制約されない」
「日本は本当に民主主義の国か。どこかの国と同じになっちゃう」
と相変わらず自説を繰り返していた。

つまり、
「日本には思想信条の自由があるから、航空幕僚長といえども自由に発言できる」
「いまだに、自分がなぜ解任されたのかわからない」
「なぜ今さら非難されるのか」(過去に隊内誌などで繰り返し同様の論文を寄稿している)
と、現在、「問題視されていることの本質が理解できない」のだろう。

しかし、国会議員の中にも「今回の問題点とされている点が理解できない」と考える人は多いようだ。
例えば、衛藤晟一参院議員は「(個人の)歴史観に踏み込むべきじゃない」と発言している市、。玉沢徳一郎衆院議員は「論文の主張の何が悪いのか」主張し、陸上自衛隊出身の佐藤正久参院議員(髭の隊長)は「何が問題か分からないと、現場の隊員は不信感を持つ」と発言している。

確かに「文民統制に抵触するかしないか」といえば、微妙であり、個人的には「自由な思想信条を持つこと自体は抵触しないが、公の場で自由に発言することが懸念される人物を航空自衛官を統括する職にあるものをなんの懸念もなく任命している現状からは、文民統制力は弱い」と考えられると思う。

つまり、
・航空幕僚長といえども、「思想を持ち意見を思考する自由」はあるが「政府見解と違う考えを発表する自由には制限がある」のは当然
・国益を考えれば、「政府見解と違う発言をすれば近隣諸国との安全保障に影響が出る」のは必至
・「“思想信条の自由”に対する誤った認識」「政府見解と異なる歴史観を持つもの」を任命する政府のシステムは脆弱
だと思う。

それにしても、参考人招致での質疑より、
・公用車でアパグループの元谷代表の出版パーティーに出席
・元谷代表を航空自衛隊の戦闘機F15に空幕長として体験搭乗を許可
などを認めていることより、アパグループ主催の懸賞論文で最優秀賞を獲得し賞金300万円を得ることは形を変えた利益供与ではないか、と疑われても仕方がない。
しかも、懸賞論文の選考委員の評価では、ほとんどの委員が田母神論文を評価していないので、委員の中には「なぜ最優秀になったのだろう?」と発言している人もいるようだ。

靖国参拝時にも「公人と私人の違い」がよく議論になるが、「自由な思想・思考を(公にならない世界で)持つことと、自由に発表したり、明らかな態度表明(公に示すこと)すること」が理解・認識できない人を要職に任命してしまった「任命責任」は重いのではないかと思う。

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