この「邪魔する思考方式」を理解して、日常的にそうならないように心がけをしなければ、ロジカル・シンキングがなかなか身につかず実践もできません。
ロジカル・シンキングを邪魔する思考には、
1)成功体験にばかり依存する
2)過去の失敗から禁止事項を設ける
3)こうしなければならないと思い込む
などがあります。
【成功体験にばかり依存する】
以前、中小企業の社長ばかりが集まる会合に出たことがありました。
私はふだん、そういった会合に出ることはないのですが、ある中小企業の社長さんの基調講演があるというので、お付き合いで参加したのです。
講演の内容は「先行きの見えない日本経済を私たちはどう乗り切るべきか」というような話でした。
結論からいえば、その社長さんの講演を酷評するつもりはないのですが、「成功してきた結果が美化され過ぎている」「努力と根性、苦しい時も従業員が自分についてきてくれたこと」ばかりが語られているにすぎませんでした。
つまり「成功体験という事実で思考が停止してしまい、どうして成功できたのか、がきちっと原因究明されていない」のです。
しかし、その講演会に参加した多くの中小企業の経営者たちは、その苦労話を聞いて涙を流していました。
中小企業の社長さんは「浪花節的なお話し」が大好きなようです。
【過去の失敗から禁止事項を設ける】
逆に、失敗体験から「思考が停止して、どうして失敗したのか、がきちんと原因究明されていない」人もまたいます。
以前、業務改善に関するコンサルタントやセミナー講師、セミナー会社の営業マンらが集まった私的な飲み会があったのですが、そこである人が「ISOを業務改善の経営ツールとして導入している企業は日本で10万社以上ある。しかし、活かしきれている企業は数少ない。つまりISOは有効的な経営ツールではない」というようなことを言われた。
確かに、結果だけ見ると、「ISOを経営ツールとして活かしている」と回答する企業は導入企業の半数以下、辛口で評価すれば、せいぜい5%程度である。
しかし、「業務改善」は「軽い鼻風邪をひいている人が薬を飲んだかすぐ治った」というような「ツールを導入するだけで成功する」性質のものではない。
つまり「どうしてISOを導入しているのに経営ツールとして活かすことができない企業が少ないのか」の原因究明がされずに「ISOはダメだ」という結論になっているのです。
「結果からその結果が導き出された原因究明がされずに、これはダメ、という禁止事項を設けてしまうこと」ロジカル・シンキングが身につかない思考法です。
【こうしなければならないと思い込む】
私たち業務改善にたずさわるコンサルタントは、「仕事の質や効率を上げたかったらみなさんは何をしなければいけませんか?」とよくクライアントさんに質問します。
すると返ってくる回答で多いのが「会社の決まり事をしっかりと覚えて仕事ができるようになることです」「上司の指示を忠実に実行できるようになることです」「教育訓練を繰り返し実施して、今の仕事がもっと早くできるようになることです」というようなものが多い。
この考え方は、「半分ぐらい正解ではありますが、思い込み」が中心になっている思考であることに気づくはずです。
つまり「会社のルールは守るべきだ」「上司の指示には質問をせず従うべきだ」「仕事は早くできるようになるためには教育訓練あるのみだ」という思い込みです。
そもそも「仕事をする目的」を考えれば「もっといい別のやり方はないのか」「その仕事は必要なのか」「仕事のやり方を見直す必要はないのか」といった考えが出る方が自然で筋道が通っています。
しかし、「思い込み」があると、思考停止して発想がひろがらないのです。
以上のことより、「これがベストだ」「こうでなければならない」「絶対に・・・だ」「今までにそんなことをしたことがない」という思考を自然にしてしまってはいないだろうか?と自問自答していくことが、ロジカル・シンキングすることを邪魔しない思考法なのです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカルシンキングのススメ メルマガ96号より)
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