数々の“偽装”編出や民族問題などに対する報道規制が海外メディアに指摘された大会ではあったが、当初懸念されたテロは発生せずに、中国が世界に大国ぶりをアピールできた五輪であった。
成績的にも中国は金メダル51個(前回32個)と36個で2位のアメリカや23個で3位のロシアを大きく引き離した。
ちなみに、日本は金メダル数では9個と8位。
メダルの内訳は銀メダル6個、銅メダル10個の計25個でアテネ五輪の総数37個からは激減した。(前回アテネ五輪のメダル内訳は、金メダル16個で5位。銀メダル9個、銅メダル12個)
アジアで考えると、開催国である中国は当然のこととして、韓国も金メダル13個(前回9個)と国の威信をかけて総力戦で努力してきたことがわかる。
もちろん、各競技には「五輪よりもリーグ戦や世界選手権やワールドカップで勝つことの方が、価値が高いし重要」という根本思想もあると思うが、多くの国民は、世界中が注目する4年に1回の五輪の場で活躍してほしい思う。
また、出場している選手も五輪をひと区切りと考えて調整している選手が多いように感じた。
五輪中継やインタビューを見ていて面白かったのは、戦った後の選手の言葉である。
「もっと自分に負荷をかけろ」
この言葉は、競泳男子200Mバタフライで銅メダルを獲得した松田丈志選手がアテネ五輪男子ハンマー投げで金メダルを獲得した室伏広治選手に相談した時にアドバイスされた言葉だという。
「気持ちで負けないようにした」
この言葉は、競泳男子100M平泳ぎで、世界新記録で金メダル、200Mで金メダルを獲得した北島康介選手の言葉だ。
100Mは強豪選手の記録が拮抗しており、予選でもダーレン・オーエン選手がハンセン選手の(当時)世界記録に迫る好記録を出しており、実は北島選手も「厳しい」と感じ不安に駆られ緊張もしていたという。
しかし「気持ちで負けたらダメだ」と自らを奮い立たせたのだという。
「勝因は絶対に負けない気持ち」
この言葉は、レスリングフリースタイル55キロ級で銀メダルを獲得した松永共広選手の言葉だ。
レスリングは柔道など他の競技のようにシード制を採用していないので、トーナメント戦のブロックに強豪選手が揃ってしまうことがあるが、松永選手のブロックには世界選手権王者などが集まってしまった。
しかし「絶対に負けない」という気持ちだけは持ち続けたという。
「思いの差があった」
この言葉は、野球のキャプテンを務めた宮本慎也選手の言葉だ。
準決勝で韓国が日本に勝った瞬間、ライトフライを取った韓国選手はグランドに歓喜でしゃがみ込んだ。
北京五輪出場権をかけた地域別予選で日本に負けた韓国の「五輪の本戦では絶対に勝ちたい」という強い思いを目の当たりにして、宮本選手は日本の敗因をひとことで表したのだ。
「可能性がある限り挑戦していきたい。頑張る姿を応援して下さるということは幸せなこと」
この言葉は、柔道女子48キロ級で銅メダルを獲得した谷亮子選手の言葉だ。
試合後の記者会見では引退を示唆する発言をしていたが24日に出演したテレビでこの言葉を述べた。
おそらく、2010年に東京で世界選手権が開催されることと試合後に「谷選手の姿に元気づけられた」という応援メッセージの多さから「自分の役割」を再認識してモチベーションに変えたのだろう。
その他にも北京五輪を見ていて印象的な選手の言葉は多かった。
競技技術を究極まで高めた一流のアスリートでも、狭義の「技術」だけでは勝てず、最後は「気持ち」が勝敗を決めるのだな、ということに気づかされた。
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