入学定員の超過問題のあった立命館大学生命科学部(新設学部)で、最終的に「特別転籍」した人数は25人募集のところ8人だったそうだ。

この問題は、
1)新設学部は志願者が多く、合格者に対して実際に入学する「歩留」を見積もるのが難しい
2)「特別転籍」の事情として、文部科学省の私立大学等経常費補助金の交付基準が、大学がむやみに学生数を増やし、教育の質が低下するのを防ぐために、入学定員の超過率1.3倍未満(新設は経過措置で1.4倍)に設定されているため
3)過去に、文部科学省の基準を超えてしまったため、補助金の不交付や翌年度の学部新設の延期を甘んじて受け入れた大学があるため「裏技的処置」に他校の不公平感が生じている
などの背景がある。

特別転籍という立命館大学の処置について、個人的には
・「入学定員を大幅に超過しても他学部に転籍」という「抜け道」や「裏技」が許されるなら総合大学は経営や事業計画がやりやすい
・偏差値40の学生が70の学部に転籍するような状況ではないし、入学段階での理系(生命学部)から文系への転籍は転籍者の授業の理解度などにあまり支障が出ない
(ちなみに、8人の転籍先は、法学部、経済学部、理工学部、薬学部の4学部)
との感想を持った。

報道では「生命科学部の偏差値よりも高い学部への転籍は受験生に不公平ではないか」という意見を述べていた新聞社もあった。
確かにその辺は受験者からすれば、可哀想ではあるが、実害の可能性を考えるとすれば、
「転籍者は授業についていけるか」を考えるべきだろう。

その点については、先にも述べたように今回は「理系→理系」か「理系→文系」なので学力的には問題ないと思う。
問題があるのは「文系→理系」である。
理工系大学の先生に聞くと、AO入試や受験課目の多様化により「理工系学部の入学者なのに物理あるいは化学をまともに高校で履修していない」「数学の微分積分レベルがどうにか分かる程度」の学生は、入学後の授業に関して「補講」などを相当徹底しない限り「お手上げ」になるという。

今回は、立命館大学の学長が「今後は特別転籍などの処置を取らない」ことを宣言し、謝罪したが、有名ブランド大学に志願者が集中する現状を考えれば、新設学部のみならず既存の学部でも「歩留」問題はその「予測の難しさ」から生じるだろう。
つまり今回とは逆に「歩留」を低く見積もり過ぎて入学定員を極端に下回れば大学経営が圧迫される。
入学定員の過不足についての改善策として、Ⅰ学部しかない単科大学では無理があるが、総合大学の場合なら学部単位での募集・選考ではなく、東大のように「理科Ⅰ~Ⅲ類」のような区分で募集・選考するのも手なのかな、と思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカルシンキングのススメ メルマガ68号より)

【よかったらクリックお願いします♪】
ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログランキングranQ
企業家ブログhttp://www.kigyoukablog.jp/ranki.cgi?id=35