今年度いっぱいで、定年により退任される大変お世話になっている大学の先生がいる。
この先生は自分が所属していた学科の先生でもあるが、どちらかというと部活動でお世話になった。
その先生曰く「君たちの時より、今の学生は言わないと動かない(何もしない)し、行動半径も狭い」と。

つまり、例えば、部活の年間行事(例:新入生勧誘、夏期合宿、各種大会、コンパ等)について、予約や打ち合わせなど関係機関との調整が必要な時期になっても、先生が「どうなっているのかな?」と水を向けなければ行動を開始しないらしいのだ。
「学生なりのペースで動いているんじゃないですか?」と先生に言うと、そうでもなく、「(全く)何も考えていませんでした」的な状況が多くて面食らうことも多々あるという。
また、当時は多くの学生が車を持っていたが今は、殆ど持っていない。
車といってもビンボー学生だから、「車体価格ゼロ」のオンボロ車を先輩やバイト先人脈などの伝手(ツテ)を最大限活用して調達し、行動していた。
今の学生は、親が「危ないから止めなさい」というと素直に従っているそうだ。
うちらのときも、いつの時代も親は同じようなことをいうが、無視して行動していた。
車がないと当然、行動半径が限られてくる。
学生に「冬はスキーツアーとか企画してやらないの?」というと「誰も誘ってくれない」という。女子学生ならともかく「自分で企画せんかい!」と内心思う。

もちろん、私たちが「今の若いもんは・・・」と言う時は、世の常で自分たちのことは棚に上げて、今の事情も知らずに感覚的に自分たちの当時と比較しているから、実はあまりアテにならない評価だ。
自分たちもその昔は、当然上の世代に「今の若いもんは・・・」と言われていたことを忘れている。
ただ、長期に渡って同じ年代の若者の思考や行動指向を見てきている学校の先生の評価は、定性的な評価であっても、傾向としてはある程度、的を得たものであろう。

学生の思考や行動指向の変化はどうしてだろう?と常々考えている。
まずは「学生のフトコロ」事情はどうなのだろう。
インターネットのニュースで「親元から離れて暮らす大学生が受け取っている仕送りの額が減り、20年ぶりに月8万円を切った」と報道されていた。
その報道によると、仕送り額は、
1987年:7万9460円
1996年:10万2240円
2007年:7万9930円(※バイト収入を含めた総収入は13万4260円)
だそうだ。
学生が持っているお金は、私の学生時代とあまり変わらない水準である。
(※学生の生活費に関する参考情報  )

次に考えられるのは「先輩から後輩への伝承」。
以前は、講義ノートや期末試験の過去問、バイト先やレジャースポット、アパートや家具、中古車などの情報は自然と受け継がれるシステムがあった。
卒業後、4~5年して自分の出身学科の後輩に聞くと私が当時作った「期末試験の過去問集」がちゃんと受け継がれていた。
ただ、私の出身大学は特に、少子化、世間の大学定員の増加などの影響をもろに受けており、学生数自体が当時の1/3程度になっている。
学生数の減少は、引継ぎシステムが機能していない要因の一つだろう。

「求めよさらば与えられん」ではないが、積極的に求めずとも当時よりも色々なものが、与えられ、用意されている時代に今はある。
そのあたりが「自分から行動する」思考が弱くなる大きな原因かもしれない。

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