まずこの2件のニュースについて概要を紹介する。
【倖田來未さんの活動自粛の概要】
1)2008.1.30のAM1時から放送されたオールナイトニッポンに一夜限りのパーソナリティとして出演
2)番組冒頭、マネージャーが結婚したことについて、「いつ子供を作るの?」という話題になる
3)倖田さんは「やっぱ、35(歳)ぐらいまわると、お母さんの羊水が腐ってくるんですね(笑)なので、ちゃう、ホントに! いや、例えば汚れてくるんですよね。だから、できれば35歳ぐらいまでに子供を作って欲しいなって話をしてたんですけど」と発言
4)この発言に対してネット上で「わぁ~ファンだったのに~。私は30代後半の初産妊婦です・・・」、「医学的にも何の根拠もないいやな言い方をするなんて・・・。しかも女性なのに。ほんと、かなり問題発言ですね。デリカシーがなさすぎです」、「腐ったら大変なことになりますね…無知過ぎます。デリカシーもない…」、「このような発言をラジオですることがいいはずありません。芸能人どころか人としてマズイと思います。冗談だとしてもちょっと…と思います。想像力が足りな過ぎですよね」など大きな波紋を呼ぶ。
5)2月1日に所属事務所、番組を放送したニッポン放送が、それぞれのホームページで謝罪した。またまた所属するエイベックス・エンタテインメントは、倖田さんの最新アルバム「Kingdom」の新たなプロモーション活動を当面自粛することを決めた。
【くりぃむしちゅー出演CM打ち切りの概要】
1)くりぃむしちゅーが出演するCMが2007年10月より全国で放送されていた。
2)CMは、1900年(明治33年)創業の高橋酒造(本社・熊本県人吉市)の米焼酎「しろ」
3)CMは、知事選出馬を題材にしたもので、上田さんが「本気で政治家を目指そうと思う。県知事選に出馬する」と有田さんに相談。有田さんが説得して上田さんも翻意するが、直後に有田さんが県知事選に出馬宣言するというオチが付く内容。
http://www.hakutake.co.jp/fun/kokoku/tv_6.html
4)2008年3月23日に熊本で知事選があり、現在は、現職の潮谷義子知事が不出馬を表明し、現在5氏が立候補を予定している。
5)高橋酒造社内から「本CMに選挙を揶揄する意図は全くないことは、はっきりと申し上げたいと思います。しかしながら、知事選が迫り、真偽のはっきりしないさまざまな情報が飛び交う中でこのCMが流れると、一般生活者ではなく、選挙関係者の皆さまを刺激したり、あり得ない誤解を生む恐れがないとは言えないと判断し、選挙期間中のオンエアを自粛することにいたしました」との声が上がり打ち切りを決定。
以上が、この2件の概要である。
この2件の経緯で違うのは、くりぃむしちゅーのCMについては、外部からの顕在化した批判が出る前にCMスポーンサーである高橋酒造が自主的にCMの放送を打ち切りしたことであるのに対して、倖田さんの発言については、批判が出た後の対応になってしまったことである。
もちろん、ラジオでの発言は「生放送」であり、修正がすぐにはできないという性質の違いもあるが、ともかく、批判を受けてからの対応になってしまった。
高橋酒造のCMについては、個人的には思いつくまま列挙すると、
・飲んだことのある「しろ」のCMであり、また上田さんの演技が面白いし、有田さんの知事出馬というオチも面白い
・知事選のある熊本はともかく、他の地域ではCM放送を継続していいのではないか
・日本人はこの程度の「ジョーク」がわかる国民ではないだろうか。
・企業が先回りして予防処置するばかりでは、「型破り」なことをする人がどんどん減って行ってしまうのではないだろうか。
・CM制作時点で、3月の知事選について予測できなかったのだろうか?
などの感想を持った。
また倖田さんについても同様に列挙すると、
・倖田さんの日常の発言からすれば、「倖田っぽい発言」だけど、「35過ぎると・・・」「羊水が腐る」発言はまずい。せめて「高齢出産はからだがシンドイから早く産んだほうがいいよ」程度にしておくべきだった。
・倖田さんの発言について、ニッポン放送も倖田さんサイドも放送当時は「問題発言」(クレームが殺到する)との認識はなかったのではないか。
・倖田さんに限らず「生放送での発言」について「さきほどは、不適切な発言がありました。申し訳ございません。」などのコメントを入れる仕組みはラジオ番組にあるのだろうか。
・そもそも、「台本以外のアドリブ発言もあって面白い生放送での発言内容」をチェックする仕組みはラジオ局側にあるのだろうか。
・ニッポン放送や倖田さんの事務所の謝罪は「修正」であるが「再発防止策」は検討しているのだろうか?
などについて思い浮かんだ。
普段、「再発防止」や「未然防止」「企業リスク」などに関わっている者の発言ではないかもしれないが、倖田さんの親しみやすさは「歯に衣着せず」であるし、くりぃむしちゅーが「お笑いタレント」であることは誰もがわかっているので、我々は、ある程度は、寛容であってもいいのかな、という気もする。
ただ、ネットですぐに一般人が情報を発信する事ができる時代だし、商品(タレント)や企業イメージを考えると、リスクも考慮した行動を取る必要がある。
しかし、リスクを気にしすぎると「面白みに掛けて型にはまったものばかり」になる懸念もある。
この辺の発信側と受信側のバランス感覚をどう見極めてマネジメントするのかが重要なのだろう。
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