ちなみに、日本選手(チーム)の五輪での金メダル受賞はのべ123回(夏114回、冬9回)ある。
受賞者数は、体操の加藤沢男さんのように個人種目で6つ獲得している方もいれば、バレーボールのような団体競技では、何人の方に金メダルが授与されたのか不明確なので、「日本選手の五輪金メダリスト」が何人いるのか正確にはわからない。おそらく、おおよそ150人程度はいるのだろう。
「ゴールドメダリストの中で博士号を取得している選手数」の正解は3名。
それは、1988年のソウル五輪のレスリングフリースタイル52キロ級の佐藤満氏と同じくソウル五輪男子100m背泳の鈴木大地氏、2004年アテネ五輪男子ハンマー投げの室伏広治氏だ。
なお、明日から世界陸上大阪大会が始まるが、大会に出場する室伏選手の学位論文のテーマは「ハンマー投げの頭部の加速についてのバイオメカニクス的考察」だったそうだ。
ちなみに、室伏選手は、巨体に似合わず100mを10秒台で走り、立ち幅跳びは360cm、握力98kg、野球の始球式で投げれば131km/hも出してしまうずば抜けた身体能力を持っている。
また、筋肉には瞬発力を発揮する速筋と持久力を発揮する遅筋があるが室伏選手の場合は典型的な速筋比率が高いタイプである。
室伏選手のすごいところは「探究心」である。
通常、もって生まれた身体能力が高いとその能力に頼りがち、すなわちスポーツの場合は「力任せ」「がむしゃらな練習」「根性」「気合」と言ったものに走る傾向があるが、室伏選手はハンマーを投げるタイミングや感覚練習に魚網を使ってトレーニングしたりと、技術を高めるためにさまざまな工夫をしている点だ。
練習にさまざまな方法を取り入れていることをインタビューで聞かれ、
○今まで人がやっていない事にチャレンジするのが面白い
○同じ練習を繰り返すとその練習に身体が慣れて逆に思わぬケガをしやすくなる
と答えていた。
スポーツの世界は、指導する側がまだまだ「感覚的な表現」にとどまっていて、共通認識に基づく議論の土台が十分ではないという。
確かに指導者や監督、大選手の言うことや実践してきた経験則が指導する側もされる側も通りやすいし、幅を利かせてきている。
「理屈じゃ勝てない」とうそぶく人がいるが、体力的には各国と比較して劣っている日本人が世界を相手に勝つためには「理屈(理論)の積み重ねが技術の進歩につながった」と思う。
ただ、上の世代や組織の管理層が「理屈屋」を煙たがると「理論」は育たないし、そういったことを理解できる論理能力がある人材も育たない。
室伏選手の場合は、父でありコーチの室伏重信氏が体育学部の教授であったこと(学者は理屈屋でなければ基本的に務まらない)と個人競技だから「理論」を重要視する眼を育てる事が出来たのだと思う。
「個人の理」(自分の中だけでの理解で他人には難解)を「一般論」に翻訳できる人材と体系的に整理する「知識の構造化」が「効果的な技術や能力の形成・発展」に欠かせない要素なのである。
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