戸田公園。

そこは、駅周辺はもちろん住宅街の至る所に公園や広場があり非常に景観が綺麗な町である。

その戸田公園に宮田遊太という男がいる。

どんな男なのかはこれから紹介するとしよう。

 

宮田遊太 30歳 男。

血液型B型。1992年9月3日生まれ。乙女座で申年。出身は長瀞。

独身で性質や飾り気のない素朴なマンションの5階に住んでいる。

マイペースな性格で平凡なやつだが、他人を肯定し気兼ねなく相談に乗ってくれる優男でもあるのだ。

ゲームや散歩が好きで趣味は家やカフェで読書をすること。

他の人から見ると遊太は、そんなにイケメンでも男前でもない。顔は普通で背はまあまあ高いしルックスは然程でもない。

でも、優しいしちょっとシャイな所もあるけどそんなに嫌いではない。

むしろ、見ているだけで安心するような人。

何事にもポジティブ思考を持つよう心掛けていて常に明るく生きていこうとしている。

時には失敗して凹むこともあるけど立ち直りが早いというところも彼の長所といえるだろう。

そんな、遊太に新しい一日が始まろうとしている。

部屋は3LDKの一人で暮らすには広く洋室が二つリビングもあってカウンター付きキッチンもあり畳が敷き詰めらている和室もある。

遊太は、2部屋のうち1部屋の洋室にいる。

そこは、彼がいつも使う部屋なのだ。

部屋は真っ暗で閉まっている薄いオレンジ色のカーテンの隙間から小さな光が差し込んでいた。

電灯は点いておらずタンスの横には冬と夏、秋用の服が入っている箱が三段重ねになっていてクローゼットは開きっぱなしのまま放置されていた。

壁にはリュックやポーチと帽子やベルトが掛けてある。

小さな机の上に充電器を差しているスマホとノートPCが置いてあった。

そして、枕に頭を乗せオーガニックコットンのシーツの上で寝転がり布団が捲れて大の字になって寝ている男がいる。

平然といびきをかき寝巻の下に手を突っ込みながらグースカと眠っている。

大きな口を開けて大っぴらに両手足を広げボサボサと頭が爆発しているかのような寝癖を付けて堂々といびきをかきながら眠りという娯楽を堪能しているこの男こそが、宮田遊太である。

大胆に間が抜けてた寝顔を見せる遊太はどんな夢を見ているのか静かな部屋の中で寝言を言う。

そして、ギリギリと歯ぎしりをして寝返る。

すると、突然スマホのアラームが鳴り出した。

鳴り出すスマホの画面には「AM19:00 起床」と表示が出ていた。

アラームは普通のピアノの音などの目覚ましではない。

二人組の音楽ユニット スキマスイッチの「Hello Especially」だ。

この曲は朝の目覚ましにはぴったりだと思い遊太がiTunesStoreで購入したのだ。

爽やかなメロディを乗せてサビを歌う彼らの歌声が部屋中に包まれる。

スマホがスキマスイッチの曲を流して寝ている遊太を起こそうとする。

サビのメロディが終わるともう一度、曲が流れまた遊太を起こす。

なかなか起きない遊太にスマホが「朝だー起きろー」としつこく呼ぶかのように歌が終わるとまた歌い出しすというリピートが続く。

スマホの「朝だぞ」コールが続くとさすがにうるさくて仕方がない。

起こし続けるスマホに遊太はボサボサの寝癖頭をつけながら目を半開きし体をゆっくり起こす。

まだ眠そうな顔をしながら机上に置いてあるスマホを見てアラーム音を消す。

時間は7時8分になっていた。

鳴り続けたアラーム音を消した後、遊太は大きなあくびをし手を大きく上げ「う~~っ」と声を出しながら背伸びした。

部屋のカーテンを開けるとミラーガラスから明るい光が見えた。

外から差し込む光に今日は晴れてるなと遊太は思った。

寝起き姿のまま部屋を出てリビングのカーテンをシャッと開けると透明ガラスの奥に映ったのは、雲一つない青い空。

朝日を浴びた遊太はテレビを点け朝食の用意を取り掛かり始めた。

晴れた日の朝、太陽の光を浴びるとビタミンDが生成され丈夫な骨や歯を強くする効果があると二ヵ月前に観た「世界一受けたい授業」で言っていた。

テレビは日テレで放送している「ZIP!」が流れていた。

ZIP!の音声を聞きながら遊太はテーブルの上に置いた食パンの袋を持ち台所で開けた。

そして、冷蔵庫からポークハムが入った透明カップと開けかけのチーズの袋を取り出した。

まず透明カップの蓋を開け袋から出しお皿に乗せた食パン2枚の上にポークハムを乗せる。

次にポークハムの上にフィルムを剥がしたチーズを乗せオーブントースターに入れタイマーをセットする。

ジ~とタイマーが動く音が聞こえオーブントースターの中が加熱すると続いて遊太は冷蔵庫から一昨日、コンビニで買ったカットされたパイナップルの袋と近くにある大川店で買ったカゴメの野菜ジュースを取り出し台所の引き出しからフォークを出しコップを持ってリビングテーブルへと持って行く。

台所へ戻り今何分かなとオーブントースターのタイマーを確認した。

もうそろそろ出来上がる。

再び冷蔵庫を開く。冷蔵庫の中は食材が積まれていた。

食材の量がだいぶ少なくなったことに気づいた遊太は帰りに買い物へ行かなきゃと思った。

ついでに冷凍室、野菜室を確認しているとチン!と高い音が鳴った。

パンが焼きあがった合図だ。

遊太は野菜室を閉めオーブントースターを開け焼いたパンをお皿の上に移す。

アチチチ

焼きたてなので熱いので指が火傷しないようサッと1枚目のパンをお皿に移しパッと2枚目のパンも移した。チーズがトロリと溶けてポークハムが美味しそうに焼けてる。

朝のメインディッシュをリビングテーブルに置いたら遊太は椅子に座り野菜ジュースのパックの蓋を開けコップに注いだ。

いただきます。

遊太は注いだ野菜ジュースを一口飲み1枚目のパンに噛り付いた。

焼けたパンはパリッと音を立てトッピングしたポークハムは歯応えがあり溶けたチーズの風味が口の中に広がる。

特に遊太はポークハムのちょっと固くて歯応えがあるところが好き。普通のハムとはちょっと違う。

またパンを齧り咀嚼しながらテレビで生放送しているZIPを観ていた。

ZIPは今、最近の話題を集めたトピックスを紹介していた。

主に近頃起きた事件や事故、エンタメなどが紹介されVTRに流れている。

遊太は目で見て耳で聞きながら1枚目のパンを平らげ2枚目のパンに噛り付きながら咀嚼していた。

最近、ZIPは今年から一時間だけ放送が長くなった。

先月、つまり3月は毎週平日の8時にやっていた朝のニュース番組「スッキリ」が放送終了してしまった為、ZIPはいつもより一時間、朝の9時までやっている。

最初は、ちょっと驚いたがスッキリが終わったからだと分かり一時間延長になった事を理解したのだ。

そのうえ、最近ではZIPアナウンサーの水卜アナが俳優の中村倫也と結婚したという大きな話題を聞いた。その話題を知った時は驚き心の中からおめでとうと二人の結婚をお祝いの言葉を送ったものだ。

ちなみに遊太は一度だけ中村倫也に会った事がある。

仕事上で偶然、中村倫也が出演した映画の取材でインタビューを受けた事があるのだ。

テレビに映る水卜アナと中村倫也はとても仲睦まじく二人なら絶対幸せな家庭を築けると遊太は分かっていた。

テレビを観ているうちに2枚目のパンを食べ終えていた遊太は野菜ジュースを飲み次はカットされたパイナップルの袋をビーッと開けた。

フォークを持って袋に入っているカットされたパイナップルをぶっ刺し口の中に入れる。

咀嚼すと口の中がパイナップルの味で広がった。

うめ~~~。

コンビニで売っている食品は何もかもうまい。

クオリティが高いし味もしっかりして美味しく食べれる。

黙々とパイナップルを口に運び空になったら再び野菜ジュースをコップに注ぎグビッと一気に飲み干した。

ごちそうさまをして空になった皿やコップは台所の流し台に置きパイナップルの袋は水で洗い燃えないゴミのビニール袋に入れ皿洗いを開始した。

皿洗いをする時は必ずぬるま湯がお湯で洗っている。

洗剤を付けスポンジを泡立たせてから使ったお皿を洗い食器カゴに置く。

片付けが終わったら洗面所に向かい歯ブラシを持ち歯磨き粉を付けてシャコシャコと歯を磨く。

歯を磨く時もテレビの前に立ちながら磨いている。

今やっているZIPのコーナーを観ながら隅から隅まで歯を磨きそろそろうがいしようとすると、リモコンを持ってテレビの電源を消す。

歯磨き粉でいっぱいの口をコップに入れた水で濯ぎペッとする。これを2~3回をやる。

そして、口臭予防の薬用マウスウォッシュを口の中で濯ぎ出す。

味はミントですごい刺激を感じる。

マウスウォッシュで口臭予防したら着ていたパジャマとパンツを脱ぎ風呂場へGOした。

朝風呂に入るのが遊太の日課なのだ。

シャワーでボサボサ頭の寝癖を直し目やにや顔を洗い流して寝ぼけまなこをスッキリさせる。

風呂から出たらパンツを吐き肌のお手入れをする為、化粧水や乳液を顔につける。

一応、電動髭剃りはあるが遊太はそんなに髭は濃くない。が、ちょっとでも髭が生えてたらちゃんと剃る。身だしなみはちゃんとしなくちゃいけない。

洗面所から出たら真っ直ぐ自分の部屋へ戻りタンスから今日切る服と靴下を取り出す。

今日は気温が高くて暖かいから白い長袖シャツとベージュのズボンを引っ張り出しさっそく身に着ける。

そして、クローゼットから紺色のジャケットを出し白シャツの上に羽織る。

仕事で必要なノートパソコンをバッグに入れて財布とメモ帳、筆記用具など仕事に必要な物は入っているかチェックする。

確認し終えたらスマホをズボンポケットに入れ玄関の靴置きにあるスニーカーを履く。

白色と灰色と茶色の三色がついたスニーカーで銀座のGUで買ったのだ。

suicaと家の鍵を持って玄関ドアレバーを引く。

ドアの先にはマンションの廊下が見えた。

遊太は部屋を出て鍵を差し閉める。

ちゃんと閉まっているか確認してから廊下を歩き階段の方へ向かった。

エレベーターはちゃんとあるが、軽い運動として階段を使っているのだ。

遊太は5階に住んでいるので階段で1階まで降りる。

1階に着きエントランスに入ろうとすると廊下を掃除していた管理人のおじさんがいた。

白髪で眼鏡を掛け清掃服を着ていた管理人さんにおはようございますと挨拶すると、管理人も挨拶してくれた。

遊太いはエントランスに入り自動ドアのボタンを押した。

スライド式自動ドアが開いたらその中を潜りエントランスドアを開いて外を出た。

眩しい日差しが遊太に差し込みほどよい風が吹いていて清々しい青空が広がっていた。

遊太は青空を見上げながら普段使っている最寄り駅を目指し仕事場へと向かった。