こんにちは。ロフトの住人です。

 

ある朝の話。

 

その日はいつものように満員電車でした。

毎朝見ている気がするおじさんばかり。

 

僕は自分の定位置であるドアの前のつり革の下を陣取ることに成功しました。

 

「よし、今日もなんとか電車の揺れに耐えられそうだ」

そう心中で呟きました。

 

そして一駅間を電車は走る。

 

扉が開くと、僕の胸くらいの身長で、結構お年を召された感じの

優しそうなおばあちゃんが乗ってきました。

 

 

僕は少し迷いましたが自分のお気に入りの定位置を譲ることにしました。

 

ズズッと奥に詰めておばあちゃんに場所を譲り、僕は車両のさらに内部へ。

 

そこには吊革はありません。

「ちょっと辛いけどおばあちゃんのため。

 俺だってスポーツそれなりに頑張ってんだ。

 自分の脚力と体幹を信じよう。」

 

おばあちゃんは、当たり前ですが場所を譲られた感覚はなく、

もちろん礼はありません。

 

でもいいんです。おばあちゃんのため。

 

 

するとここで気がつきました。

「おばあちゃん、吊革に手、届いてへんやん。」

 

でもいいんです。おばあちゃんのため。ドアに近い方が

もしもの時、寄りかかれますから。

 

「あれ、待てよ?」

僕はさらにもっと大事なことに気がつきました。

 

おばあちゃんのすぐ横、黄色い座席。

そうです、優先座席なんです。

 

おばあちゃんのすぐ横、イイ年したおっさんがおばあちゃんをガン見している

 

なのに譲る気配はない。

僕はこの時本気で思ったんです

「セチ辛いなあ。

 なんだ、日本も終わったな。」と。

 

 

するとおばあちゃん、けなげにメガネをカバンから取り出して、

おもむろに本を読み始めたじゃありませんか。

 

「ごめんね、おばあちゃん。そんな体なのに立たせてしまって。

 僕がこのおっさんにガツンと言えたなら。」

言えませんよ。。。

 

その時!!

 

電車に激しい揺れが!

なんと僕は自分の持つすべての筋肉を駆使したにもかかわらず転倒。

 

優先座席のおっさんの足に当たってしまいました。

 

「すみません。」

僕は謝ります。

おっさんは舌打ちしてスマホを見ます。

 

「クソ、、俺はいいとしておばあちゃんの身に何かあれば、、」

 

そう思い顔を上げると、、

 

 

おばあちゃんは足を踏ん張って平然と本を読み続けていました。

 

こうして僕は、一人でなんだか恥ずかしい思いをしたのでありました。

 

ある朝の話でした。