当たり前の事ながらライヴハウスのスピーカーはお客さんのほうを向いているので、ステージ上では自分たちの演奏音がよく聴こえません。
そのためにステージでは足元のフロアモニター(通称:転がし)に自分たちの演奏音を返してもらうのですが、フロアモニターから少しでも離れると自分たちの音が聴こえにくくなります。

僕もかれこれ30年以上、ライヴで何百回と大音量を浴びてるため、聴力がかなり弱くなっていて、自分の声も聴こえにくく、無理な発声をして声帯に大きな負担をかけていました。

2008年には声帯結節を患い、ライヴ中に声が出なくなり悔しくて悔しくて泣き続けた夜が何度もありました。
声楽専門の咽喉科医師のアドヴァイスを受けたり、消炎ステロイド注射に頼ったりもしましたが、根本的な解決には至りませんでした。


そこで僕は2009年からインイヤーモニター、通称イヤモニの使用を始めました。
自分の両耳に特殊な樹脂を流しこみ、耳型を採取し作ってもらった自分専用のイヤフォンです。
世界で唯一医療用シリコンだけを使ってカスタムイヤーモニターを製造しているセンサフォニクス社のProphonic 2XSという製品です。


このイヤフォンとEx-pro社のイヤモニ専用ワイヤレス送受信機を使うことで、今までフロアモニターで聴いていた音をダイレクトに自分の耳に返してもらえるようになり、本当にストレスがなくなりました。
声帯に大きな負担をかけることなく、演奏に集中して気持ちの入った歌が歌えました。
装着もすぐに慣れるし、痛みや違和感はまったくありません。個人的な感想は「イヤモニ最高」のひと言です。


もっぱら最近のライヴでは楽器の音はすべてフロアモニターから返してもらい、イヤモニは自分の声だけを片耳でモニターしています。
モニター内容についてはいろいろ試してみるべきですが、僕はレコーディングでも「ヘッドフォン片耳外し」で歌録りするタイプなので、ライヴハウスの広さなら片耳モニターで充分いけると思います。
赤いマスクを被ったってヘッチャラです(笑)


回線の都合でイヤモニか転がし、どちらかしか使えないライヴハウスでは、自分の声をメインにすべての楽器を自分好みのバランスで返してもらいます。
両耳を塞ぐとお客さんの声が聴こえなくなり、孤独感でやりづらいかと思いましたが、さほど問題は無く、むしろ新たな境地が見えたりしておすすめです。


現在メジャーで活動してるミュージシャンは事務所やスタッフ任せでイヤモニを作ってもらってると思うので、詳細な意見や使用感を語りません。語る必要もないけどね。
だからという理由だけではありませんが、僕がイヤモニについて簡単にですが書いてみました。

イヤモニなんてホールクラスのアーティストが使うものだと思って使用をためらっている。とか、騒音性難聴や声帯ポリープで困っている。など、少しでもそんなミュージシャンの参考になればこれ幸いです。






これがドニー専用の黒いやつ。
製作時に何色か選べますが、衣装との相性を考えて黒にしました。
ただ耳に入ってるときはいいけど、間近で見ると虫っぽくてかなり気色悪いぜ。