大分県知事 広瀬勝貞 殿
日出生台での米軍演習に関する要請文
2月10日から10日間にわたって、日出生台演習場で行われた、9回目の米海兵隊の実弾射撃訓練は、
私たちローカルネット大分・日出生台のカウントで、総砲撃数693発、夜間の砲撃数176発、夜間の
一時間あたり砲撃数43発、夜間砲撃日数7日間と、そのすべてにおいて過去最多を更新。これまでで、
もっとも激烈な実弾砲撃演習が実施されました。
今年の訓練では、夜間砲撃の着弾音、衝撃、振動が例年より格段に大きく、演習初日には、日出生台
から約30キロ離れた別府市でも30件の問い合わせが寄せられました。地元から再三、自粛要請を行っ
てきた夜間に激しい砲撃を強行したことは、住民感情を逆なでする暴挙であり、住民配慮よりも、自分
たちの訓練を優先する米軍の傍若無人な姿勢を如実に示したものといわざるをえません。
また、今回は、訓練初日、2月10日の深夜、完全武装し機関銃を持った米兵と、米軍の部隊車列が、
県道へ出てくるという前代未聞の事件も起きました。出てきたトラックは、155ミリりゅう弾砲や貨
物車両などを牽引しており、県道の道幅いっぱいまで広がって通行した当時の状況を考えると、もし、
その時間に、住民の車両が通りかかっていたなら、道路が凍結していたこともあり、大きな事故へつ
ながりかねない危険な状態にあったといわざるをえません。
日出生台の米軍使用協定においては、この米軍の県道走行を規程する項目こそありませんが、そも
そもこの協定の目的は、「地域住民の不安や懸念の解消を図」るためとあり、今回、日出生台の地元
自治委員から「県道に出さないでほしい」との要請がなされたように、地域住民は今回の事件に大き
な不安と懸念を抱いています。この地域住民の不安、懸念の解消のために、米軍使用協定に、はっき
りと米軍の県道走行禁止について明文化した項目を加えてくださるよう求めます。
また、報道によれば、これについて、九州防衛局は「県道走行が可能な理由について、日米地位協
定第5条により、施設間の米軍車両の移動は認められている」とコメントしました。しかし、今回の
彼らの県道走行は、日出生台演習場から県道へ出て、その後、また演習場へ戻ったものであり、これ
を地位協定上の「施設間の移動」とするのは、あまりに都合のいい拡大解釈といわざるをえません。
そもそも、この日米地位協定の第5条「施設間移動」というのは、基地へのアクセスを認めている
ものに過ぎず、そのような拡大解釈は、沖縄でも長年にわたって問題となり、再三にわたって、改善
の要求が沖縄県からなされてきたものです。
沖縄では、この地位協定第5条の「施設間移動」を名目に、完全武装した米軍部隊が市街地で行っ
てきた行軍訓練が繰りかえされてきました。また、2005年には、沖縄県の公道で走行訓練していた
米軍のトラックが、一般の乗用車と衝突する事故まで起きています。そこでも、防衛局や外務省は
「施設間移動」として、米軍の公道での傍若無人な走行訓練を認める発言を繰り返してきました。
地位協定については、その他にも17条の裁判権の問題など、米軍に無制限ともいえる特権を与え
る内容が、米軍の野放図な行動や犯罪を生む原因となっているとの指摘がされてきました。日出生
台においても、今回、「施設間移動」という言葉が用いられ、いったん、米軍による事件、事故が
発生すれば、直ちに同じ問題に直面することが浮き彫りとなりました。大分県としても、沖縄県な
どとともに、この不平等、不公正な性格の地位協定の抜本的な改善、見直しを国に対して、求めて
いただけますよう、求めます。
最後に、そもそも、今回の県道走行などの問題が発生しているのは、年を重ねるごとに、拡大、
激化、多様化している米軍の演習が、いまだ、縮小廃止にならないままに継続し続けていることに
帰因するものです。私たちは、あらためて、日出生台での米軍演習の一刻も早い、縮小廃止と、
そのための実効性ある行動を、大分県に対してお願いするものです。
よって、以下の3点について、大分県に要請いたします。
1,日出生台での米軍演習の縮小、廃止を実現するためにあらゆる手立てを尽くすこと
2,米軍に特権を与えている日米地位協定の抜本的見直しを国に求めること
3,今年、更新される「日出生台米軍使用協定」に、米軍の県道走行を禁止する規程を盛り込むこと
2012年3月16日
ローカルネット大分・日出生台















