2014年12月16日、大分県に以下の要請書を提出し、
事前に提出した質問への回答を求めました。
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大分県知事 広瀬勝貞 様
日出生台での米軍訓練の中止と、
米軍訓練に関するすべての情報の徹底公開を国に求めてください。
また、国が県や地元自治体に情報の秘匿を求めるようなことのないよう国に求めるとともに、
このような情報公開に逆行する要請を国より受けた場合には
毅然とした姿勢でこれを拒否するよう大分県に求めます。
日出生台演習場では、来年2月から、通算10回目となる米軍による実弾射撃訓練が、中止を求め続けて来た私たち住民の願いを踏みにじって、またもや強行されようとしています。
この米軍演習は、演習が開始される前に説明されていた「沖縄の県道104号線を越えて実施されていた155ミリりゅう弾砲の実弾砲撃演習」という名目を、今や大きく逸脱し、155ミリりゅう弾砲だけでなく、小銃、機関銃、重機関銃なども含めた、ありとあらゆる米軍の武器、兵器が使用される場とされています。砲弾についても、7回目となる2010年の米軍演習では、それまで日出生台では一度も使われなかった白りん弾、照明弾が使用され、以前の演習とはまったく様相が異なるものになりました。総砲撃数も年々増加、連射の激しさも激化の一途をたどってきています。
このような演習の拡大強化とともに起きてきたのが、米軍演習に関する情報公開の後退です。演習開始当初は非公開ではなかった米軍部隊の移動情報が6回目となる2006年より非公開扱いとなり、米軍先発隊、本隊、後発隊の日出生台演習場への入りと出に関する情報、米軍車両の大在埠頭からの陸揚げ、搬送、演習後の集団外出の日程情報などが「テロの危険性がある」との名目の下、非公開となりました。
さらに、つい先日12月10日、日出生台において実施されたと推測される米軍による事前調査において、過去9回の事前調査では必ず公開されていたのに、今回は、米軍調査実施の有無も含めてすべての情報が非公開とされる事態となりました。
このような情報公開の問題は、一見、小さなことに過ぎないように見えますが、こうして少しずつ演習の実態は見えなくなり、住民に危険が及んでいないかどうかといったことが確認のしようがなくなっていきます。米軍の訓練を規定したはずの「米軍使用協定」の意味も根底から失われてしまいかねません。
今回のような国からの情報秘匿要請に対して、毅然とした態度を取ることは、大分県や地元自治体が、これまで続いてきた米軍訓練の拡大と情報公開の縮小後退をくい止めるための数少ない抵抗手段であり、これを許していて、「将来的な米軍訓練の縮小廃止」などありえないと私たちは考えます。よって、私たちは、標記に掲げた内容について、強く大分県に要請します。
2014年12月16日
ローカルネット大分・日出生台
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要請書提出の後、こちらから事前に提出していた4項目の質問について、
(九防=九州防衛局)
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質問1)【九防より受けた内容について】
九防より、公表しないように指示されたというのは
具体的にはどういう表現で指示があったのですか?
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事前調査について「情報は非公開にしてください」という九防からの要請があった。
12月5日金に九防の局部長が県庁にきて、現地調査の日程、目的を伝えられた。
「取扱は米軍のセキュリティの関係があるので非公開とする。
県にも公表を控えてもらいたい」と言われた。
非公開の理由:
事前調査の情報は、演習そのものの情報ではないから。
米軍が事前調査を円滑に行うため。
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質問2)【九防より指示された公表、非公表の範囲について】
九防から伝えられた指示では、今回の米軍事前調査に関する情報は、事後なら公表していいのですか。それとも事後もダメと指示されたましたか。(公表してかまわない部分といけない部分の指示があったのですか?)
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九防から非公開の範囲など細かな指定はされていない。「米軍のセキュリティ」ということだったので、事後に通知内容を明かすことについては問題ないのではないかと考えている。
前日(12月9日)に大分に入って、12月10日一日だけの調査。
演習場内の射撃場、輸送、病院等の確認を行う、という通知を受けた。
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質問3)【県の受け止め方について】
これまで過去9回行われていた米軍の事前調査の情報が、今回、九防より出されなくなったことは、情報公開の後退と受け止めていませんか?
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県としては、訓練情報の開示は重要なことと思っている。
協定更新の際にはあらたに覚え書きを作り、情報公開についても盛り込んだ。
事前調査については、これは、あくまで事前の調査なので、今回のことが、ただちに情報公開の後退とは考えていない。
12月5日に防衛局が来た際にも、訓練情報の公開について、九防に生活環境部長からきっちりとお願いしている。
昨日も、九防を訪ね、大分県の状況も説明した。今後の訓練情報の開示をしっかりとおこなってほしいと要請したところ。
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質問4)同様に、米軍演習そのものに関する情報が、これまでよりも出なくなるといった事態への懸念はありませんか? そのような事態になったらどう対応しますか?
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今後の訓練情報についても、これまで通りしっかりとおこなっていく。
県としては、情報公開の後退があるようなことがあってはならないと考えている。秘密保護法とは関係なく、これまで通り情報公開を行うと九防は言っている。
---------------------<個別の質疑>---------------------
【ローカルネット】4者協(大分県と日出生台演習場がある、由布市、玖珠町、九重町で構成)間で、九防からの情報の扱いについて、公開、非公開の具体的な範囲などについて、確認しあったりしたのか?
【防災危機管理課長】お互いに具体的な確認、申し合わせはしていない。
【ローカルネット】一部、県議からの問い合わせなどに対して、県は今回の事前調査の情報を答えているようだが…?
【防災危機管理課長】非公開というのは、あくまで、公式発表はしないという意味。
(委員会の場ではなく)委員会所属の県議らに対しては個別に伝えてあった。
委員会に所属してなくても、県議からの問い合わせには答えた。
【ローカルネット】県民からの問い合わせには?
【防災危機管理課長】県民からの問い合わせはなかったので、わからない。
【ローカルネット】伝えた県議らに、非公開にするように指示したのか。伝えられた県議らに守秘義務があるのか?
【防災危機管理課長】それはない。
【ローカルネット】今回のような米軍情報が秘密保護法でいうところの特定秘密にあたることはないのか?
【防災危機管理課長】このような情報が秘密保護法の秘密にあたることはないと九防からも言われているし、県もそう考えていない。今後も日出生台での米軍演習情報について、特定秘密に該当するようなことはないと考えている。
【ローカルネット】県自身も監視活動をやったらどうか?
【防災危機管理課長】訓練そのものの監視は、現地事務所に職員を貼り付ける形で取ってきた。国がきっちりと責任を持ってやってもらうというのが基本。
平成25年協定が更新された。協定をきっちりと守ってもらう。
情報公開。安全対策。覚え書きも策定しいる。
射撃時間については使用協定の覚書で、冬期は20時までと盛り込んだ。
米軍の演習も20時までしか行われない。
(過去9回の米軍演習は、21時まで実施された)
【ローカルネット】私たちは、米軍の演習や訓練、移動などが、大分県民の暮らしに被害や影響を与えることがあったりすることがないようにチェックし、その内容を公表するという活動に取り組んできた。こういった、今までずっとやってきたことが、これから先、秘密保護法に触れるようなことがあるのではないかと心配している。
【防災危機管理課長】
皆さんの監視活動や、その結果得られた情報を公表することが特定秘密保護法に該当することはないと考えている。秘密保護法が該当するのは、地位や職業上、この秘密に触れる立場にあるものが漏らしたときだけ。
ここで、時間切れとなり、終了。
最後に、「演習そのものの情報ではないから」という理由で、演習時以外の米軍関連情報が出なくなることは、今後、同様の名目で米軍情報が非公開とされていく口実とされてしまうことを懸念していること。今回のような情報公開の後退に対しては国に毅然と向き合っていってほしいことを伝えて、申し入れを終了した。