国会傍聴はまだ大正生まれの中曽根元首相と宮沢元首相が議員在職してた2002(平成14)年2月にはじめて行いました。
我が家の爺さんが地元で“裏”名士だった絡みで付き合いのあった議員がいて、
その息子が衆議院議員になった頃に議員事務所の秘書さんの計らいで傍聴しました。
その後は議会傍聴とは無縁の日々を過ごし、東日本大震災津波被災した後、震災関連の幾つかの活動を経て
2018年から『被災自治体の議会から復興を知る』活動を一人で行う中で地方議会傍聴をはじめ、最初は在所の市議会見たものから年々活動の幅を拡げて『地方議会傍聴活動家/地方自治研究家』として東日本大震災に関わらず、何十もの県や市区町村を傍聴し、
昨年秋の高市内閣成立を期に国会傍聴しようと思い、昨年11月21日と今年の1月23日に傍聴しました。
都道府県議会や市区町村議会のように手続きして簡単に傍聴出来るのとはワケが違う国権の最高機関・国会ですから独特な緊張感のある傍聴、この4月21-24日までの間で3回行ったので国会傍聴を此処に纏めてみようと思います。
まず国会議事堂と言う同じ建物にありながら衆議院と参議院で組織が全く以て別だと驚かされます。
衆議院と参議院のそれぞれに規則・ルールがあり、傍聴手続きもそれぞれで行わねばならない。
しかも国会には衆議院と参議院でそれぞれ大きな議場で所属議員全員出席しての本会議が行われる他、委員会・調査(審査)会と言う10-50人の会議が衆参それぞれ25程度あり、本会議や委員会・調査会を複数見ようとすると会議毎に毎回、傍聴手続きを一からしなければならないので、文句を垂れずに指示されたらすぐに従うような人じゃないと不満だけが募ると思います。
尤も戦前から国会傍聴者は議決されることに大声で反対したり、野次る事も多かったので傍聴規則が物凄く厳しく設定されているようです。
この点は都道府県・市区町村議会のユルユルな傍聴と一線を画してるんでしょう。
衆参共通して会議中に議員に釣られて拍手したり声を上げちゃ駄目、とあります。
衆議院・参議院ではそれぞれに【衛視】と言われる警備と施設内の警察権を持ついかつい公務員さんがあらゆる場所に居られますが、実は国会のガイドも兼ねていて施設内は隈無く案内して貰えます。
では衆議院と参議院の本会議と委員会、更に一般傍聴者と議員紹介傍聴者で別れる傍聴の流れとルールを分けて書きましょう。
①衆議院 本会議(一般傍聴者)
2025(令和7)年2月に【自民党圧勝・中道大敗】となった選挙があり、報道で最も注目される国会の会議。
此処で会議が開かれるのは
・総理大臣選出の為の【首班指名選挙】、
・総理大臣が年のはじめに行う【施政方針演説】(その他の大臣も年頭に行う演説も併せて『政府四演説』)と総理就任時や衆院選後に行う【所信表明演説】、
・施政方針と所信表明を聞いた各党会派が纏めて疑問をぶつける【代表質問】、
・政府(内閣)や議員が作成した法律案の内容説明する【提案理由説明】
・提案理由全体に疑問をぶつける【質疑】 、
・法律案を質疑に続いて各委員会で詳細に揉んだ後に委員長が揉んだ内容を報告する【委員長報告】、
・委員長報告を受けて最終的に賛成・反対で結果を出す【採決】、
ざっとこんなところでしょうか。

衆議院本会議は大体、火・木・金曜日に行うものとされ、スタート時間(『開議』)は一般的に13:00。
傍聴者は国会裏手・総理官邸の斜向かいにある『衆議院面会受付所』にて開議30分前までに仮受付(名前記載)をしますが、この時点で傍聴席定員を超過すると受付終了。
30分前になると仮受付の順に名前を呼ばれ、本受付で書類記載し、傍聴券とロッカーキーの発行されて傍聴券を記載してロッカーに荷物を預けます。
ロッカー前で荷物検査を受けて、ロッカーには所持品として携帯電話含む全ての電子機器や煙草やライター(マッチ)と飲み物に財布など荷物の大部分を預けますが、手帳に限りペン含めて持込可。
次に警備員や警視庁警察官が複数居る場所で保安ゲートを潜り、傍聴券とロッカーキーに手帳などポケットに入れられるものは籠に入れて別の機械で検査(空港と同じ)。
更に手帳は自分で全ページ捲らされて怪しいものを仕込んでないことを調べられます。
そのあと、係員に傍聴券を調べられて半券(控え)を切り離して移動開始。
記憶と手帳に記載した限り、一旦屋外に出て地下に降りて議事堂裏手の傍聴者入場口から中へ。
実はその中にもう一箇所ロッカーと保安ゲートがあるのですが、これは議員の紹介で傍聴する【紹介傍聴者】と言う傍聴者用(⇨此については後で述べます)。
一般で受付した人は議員紹介者用はスルーして2回エレベーターを乗りますが、この乗り換え場所には誰もおらず少し右往左往しちゃいます。
2回目のエレベーターを降りると其処はもうテレビニュースでよく見る【衆議院議場】!
全体的にアールデコ調の装飾が全体的に茶色と言うか焦げ茶色。
衛視に誘導されるままに議場の議席を見下ろす傍聴席に着席を指示されます。
この傍聴席は竣工した1936(昭和11)年のサイズのままで前後幅の狭い事…着工した1920(大正9)年時点での大人が座って問題ない幅と設計されたのでしょうから仕方の無いことです。
しかも傍聴席前後の階段が急でした。

本会議開始10分前に衛視の偉い方より注意喚起の案内…
・議員に吊られて賛成/反対/野次など絶対に声を出さないこと、
・議員に吊られて拍手しないこと、
・会議中も入退場は自由だが、終了時に議長が退室するほんの数秒間だけは全員着席しなければならない、
以上案内される後ろで460名の議員がゾロゾロと入ってくる。
今回衆議院本会議傍聴したのは4/21と4/23、
4/21は
『情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律』
『情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律』
『個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律』
3法案の【趣旨説明】と【質疑】
【趣旨説明】はこの法案がどんなモノかを提案した大臣や議員が内容を掻い摘まんで説明すること、
【質疑】は趣旨説明聞いて政党会派を代表が質問や疑問をぶつけて大臣が答えること、
今回の3つの法案は個人情報をIT化したツールで使うことが目的で手間が色々省けるようにする事が目的ですが、野党では個人情報を警察や役所が勝手に悪用するのが怖いのになぜIT化させるんだ?と大演説ぶち込んで、賛成の与党と反対の野党双方から野次の応酬となりました。
4/23は9つの法案採決、
採決前には賛成・反対の立場から意見を言う討論も行われました。
中でも国家情報会議(国家情報局)設置法案については大体の政党が賛成なんですが、大掛かりな組織を作る法案なので傍聴席に参議院議員やその関係者の紹介傍聴者も多くいましたが、衛視が注意しても何度となく私語を交わして不愉快でした。
2日間とも所要時間は35-40分と割と短めで助かりました。

ここで紹介傍聴者の話がまた出たので次はそれにまつわる傍聴について
②衆議院 委員会(紹介傍聴)
先述の衆議院本会議を一般人が傍聴するケースを書きましたが、衆参両院には委員会と言う小さな会議体がそれぞれ25個程度ありまして傍聴も可能ですけど、『議員の紹介』が無いと傍聴出来ないものとなってます。
衆議院の場合は衆議院議員、参議院は参議院議員の紹介が必要となります。
幸い私は衆議院議員・参議院議員双方にツテがあり、議員に頼むのではなく、議員が国会議事堂裏手の議員会館に構える事務所で働いてるスタッフの秘書に連絡して秘書が手続きをして委員会傍聴券を貰い、更に傍聴する我々が議員紹介傍聴券を受け取って必要事項を書く流れとなります。
①の本会議項の通り、本会議にも紹介傍聴券があり、メリットとしては一般傍聴が満席になる場合でも紹介傍聴券あれば優先的に本会議傍聴可能となります。
紹介傍聴となる本会議と委員会傍聴を併せて流れを記載しますが、
ここで二つのケース分けをしたいと思います。
『国会議事堂での傍聴』と『分館での傍聴』。
まずいずれの場合でもまずは議員会館の秘書が“苦労して”傍聴券の発券手続きをしてくれ、衆議院面会受付所にて記載台に半券付きの傍聴券に必要事項を記入します。
(1)議事堂での傍聴(委員会傍聴+議員紹介の本会議傍聴)
記載後、敷地外に出て議事堂裏手の西門から入構し、外階段降りて地下の傍聴者入口から建物に入り、紹介傍聴者用のロッカーに荷物の大部分を預けます。
持ち込めるのは手帳一冊だけ。
警察官が横で見張る保安ゲートを潜って係員に傍聴券半券を渡して受付完了。
本会議の場合、此処から先は一般傍聴と紹介傍聴は同じ扱いになります。
委員会傍聴の場合は『××委員会』と書かれたリボンを胸に付け議場の傍聴席を通って、廊下に出て何度か階段を上がったり下がったりして委員会室の傍聴席へ。
私が傍聴した委員会室はよく予算委員会中継で見る第一委員会室。

傍聴席は木製の備え付けの丸椅子これも90年の年季が入ってそう。
国会の委員会は議員に関してPC・タブレットの持込は出来ても(最近話題になりましたが、本会議はICT機器持込禁止)、飲み物は持ち込めないので、議員の座席の後ろに大きなデキャンタと小さなコップが置いてあり、会議中に議員がコップに水を入れて自席に持ち帰る光景が印象に残ります。
議事堂の委員会室は比較的広めなので40-50人での会議で利用されるようです。
私が傍聴したのは内閣委員会。

午前9時に開議し、各党の議員が順次質問していくのですが、テレビ中継と違って淡々と進んでました。
(2)別館での傍聴(委員会のみ)
衆議院には議事堂の他に2つの別館と言う建物があり、中小規模の委員会室があります。
この別館での傍聴の場合、
半券付きの議員紹介傍聴券を持って面会受付所の奥にあるロッカーに荷物を預け、保安ゲートを通って傍聴券の半券を受付で渡し、【××委員会】ってリボンを胸に付けて敷地内の屋外に出て外階段を降りて議事堂傍聴者とは別の『委員会傍聴者入口』から入場し、更にエスカレーターで下がって長い地下廊下を歩いて曲がったところにあるエレベーターを登ってそれぞれの委員会室へ。
私は『環境委員会』と『安全保障委員会』と2つ連続で傍聴しましたが、連続と言っても一つの委員会を見終わると保安ゲートまで戻って再度全く同じルートで次の委員会室へ行きます(幸い反復行動したお陰で衆議院の施設の構造が大体解りました)。
国会議事堂とその周辺の構造については幾つか文献を調べましたが議事堂内の当初の図面はあっても現在の各建物との繋がりについて詳しく書かれてる書物やWEBサイトがないですね。
国会には議事堂(本館)と衆参両院にそれぞれ幾つかの別館や分館に議員会館と国会図書館があり、地上から見るといずれも地上で繋がってないように見えますが、実は地下で繋がってるんですなぁ、、
しかも東京メトロの国会議事堂駅や永田町駅も近年の議員会館新築工事で繋がってますからね。
其処から推察すると参議院議員会館の斜向かいにある衆参両院議長公邸や衆議院第一議員会館横の首相官邸も繋がってたとしてもおかしくないでしょうし、某最大政党本部に繋がってる可能性もあるでしょうな。
尤も警備上の安全の観点で詳細をバラさないとも取れますが。
ここまで長々衆議院について書いてきましたが、今度は参議院側について述べましょう。
参議院は衆議院と違うルールで動いてるので違いを中心にしたいと思います。
③参議院 本会議(一般傍聴者)
参議院傍聴で衆議院傍聴との最大の違いは荷物をスマホ・飲み物から色々預けるのに、『煙草とライター・マッチは持込み可』なところ。
参議院本会議が開かれるのは原則月・水・金曜日の10:00開議。

本会議の一般傍聴希望者は議事堂裏手の参議院別館(衆議院受付面会所の反対側)に行き、受付で必要事項記載書類を受け取って記載して身分証明書を提示して半券付き傍聴券を貰いますが、参議院の傍聴券は映画招待券やスポーツのチケットのような大きさで如何にも『券』と言う感じ。
傍聴券貰ったら一旦敷地外に出て参議院西門より入構したすぐ横の衛視詰所みたいなところにロッカーがあるので荷物類を預け、手帳と煙草一式持って保安ゲートを通って外階段を降りて地下の参議院側議事堂出入口から入場したら、此処にもロッカーと保安ゲートがありまたまたこれは紹介傍聴者用。
なので一般人はまたエレベーターを乗り継いで傍聴階へ。
参議院の場合はエレベーター降りてグルリ半周して議場傍聴席背面のドア前に辿り着きます。
議場背面の傍聴者出入口前に二列で整列し、衛視が傍聴の注意を伝え開門。
参議院の傍聴席は真ん中に天皇・皇后陛下のご傍聴座席がありますが、90年間一度も利用されたことがないとのこと。

定刻に議長が着席し、木槌を打って開議。
4/24は国会議員在職25年を迎えた永年在職議員表彰と7法案の議決、
衆議院と違うのは電子投票システムですかね。
480の座席数に半分の240人分の議席でコロナ禍以後は一人ずつ離れて座るようになってるので議員がよく見えます。
続いて議員紹介がないと入れない委員会傍聴と本会議でも議員紹介がある場合について述べましょう。
④参議院 委員会(紹介傍聴)
参議院でも議員紹介の傍聴については衆議院と同じく、議員の国会事務所に連絡して秘書が手続きをしてくれて半券付き傍聴券を貰ってきてくれます。
(1)議事堂での傍聴(委員会傍聴+議員紹介の本会議傍聴)
議員紹介傍聴が議事堂の場合、議事堂裏手の参議院西門から入構して外階段降りて地下の議事堂傍聴出入口から入りロッカーに荷物を預け、保安ゲートを通って受付で半券もぎってエレベーターを乗り継いで議場や委員会室へ。
本会議の場合はエレベーターを降りて議場傍聴席裏手で一般と紹介と分けて二列に並んで待機するよう指示されますが、
天皇・皇后陛下のご傍聴席を挟んで一般傍聴と紹介傍聴は分けられてます。

議事堂内の広めの委員会室はまだ傍聴したこと無いけど、衆議院と同じなら議場の裏手に委員会室があるんだろうな。

(2)別館での傍聴(委員会のみ)
衆議院と同じく参議院にも分館があり、そこに多くの委員会室があります。
ルートは議事堂傍聴と同じく参議院西門から入構して外階段降りて地下なんですが、委員会傍聴用出入口から入るとエスカレーターで更に下がって長い廊下歩いてロッカーがあり荷物預けて保安ゲート通って受付して別館のエレベーターでそれぞれの階へ向かいます。
何よりどの委員会室も廊下に喫煙所があり、議員と傍聴者が一緒に一服も可能です。

これまでに『沖縄及び北方問題に関する特別委員会』と『災害対策及び東日本大震災復興特別委員会』を傍聴しましたが、これまで委員長選挙や大臣の就任挨拶しか見られず本格的論戦はまだ拝見出来ていないのでそれ以上何とも言えないところ。
長々書いて参りましたが、国会傍聴するってのは浮き世離れした世界を厳しい運用ルールを乗り越えて見られるモノなんだなと思います。
国会議員に対してあーだこーだ、ネットで言うのは簡単ですが、
私は議会傍聴研究家として『見ず知らず』で物事は語れないと思い此の期に及んで傍聴しました。
この傍聴をするにあたって衆議院と参議院のホームページもそれぞれ穴が空くほど見ましたし、会議録や中継映像を見て勉強もしました。
『大人の社会科見学』として知らぬ世界を深く勉強するのはとても良いコトかなと思ってます。
海外の国会や地方議会も傍聴し、最終目的は国連総会の傍聴。
それまでは国内の各議会の傍聴をしての勉強を引き続き行って参りたいと存じます。

